二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


映画作品鑑賞リスト2024
鑑賞リスト

映画:怪物。線路の向こう。

www.youtube.com

怪物見てきました。

TOHOシネマズ渋谷で。

渋谷なのにスマホが光らない、どうした渋谷!?

 

というわけでぇ、怪物です。

そろそろ映画館が空いてきました。

 

映画の内容としては、ね、んと。

3人の視点で物語が進んでいくんですね。

最近みたさがすを少し思い出したけど。あれも、3パートあるんだよね。

ちなみに、さがすって凄い良い映画。

 

javok.hatenablog.com

 

あれと少し違うのは、アフタースクールというか、パルプフィクション的な発見があるというか。

 

最初の主人公は、お母さんなんですよ。

安藤サクラね。

息子と仲睦まじい感じの演出が、淡々と描かれる。

最初火事が起きてるんですわ。

そこからが、事の始まり。

 

3人の視点もそこが主軸。

母ちゃんは、シングルマザーで、洗濯屋さんに勤めてる。

旦那はすでに死んじゃっていて。

息子の様子が最近おかしいんですよ。

いきなり髪を切ったりね、水筒の中には砂利がはいってたり。

 

なんか変だな。って。

耳はケガしてるしさ。

よくよく聞いたら、先生が殴ったっていうじゃない。耳をひっぱったっていうじゃない。

 

どういうことなの?

お母さんは確かめに行くんだけどね。っていう始まりなんですよ。

 

この映画、なんていうか多少ネタバレしないといけないので、中程度ネタバレはしていきますけど。

 

1,2,3パートって話が進んでいくんだけどね。

1のパートでキーになっているアイテムが、2では違う使われ方をしていたり、ああ、ここのアイテムなんだね、っていう伏線回収がはいってくるんですね。

 

おかあちゃんが思っていた視点、先生が見ていた視点、子供が見ていた視点、全部違うんですね。

全員が全員、生きようとしていただけなのに、なんだかどうにも、うまくいかないことが、すれ違っていってしまうことがあるわけなんですが。

 

で、あの嵐の日、子供たちはーっていう話に繋がっていくんですよ。

 

子供たちはただただ二人でいたかっただけなのに、それを阻害する社会がすぐそばにあってね。

結局のところ、この映画のメインは、この二人の子たちなんですね。

二人の子たちは、一緒にいるのがただ、ただ楽しくて、楽しくて。

もうずっといたいんですけど。

片方の子は、お母さんが家でていっちゃって、お父さんは酒を浴びるように飲んで帰ってきて、息子の脳は豚の脳だから、俺が治さないとっていってる。

 

治さないと、っていってるんですよ。

 

javok.hatenablog.com

つまり、ある少年の告白という視点で、お父さんは治さないと、っていってるんですけど。うっすら自認はしてるかもしれないですよね。

 

でも、小学校高学年って、難しい年ごろじゃないですか。

好きな人の性別?っていう。

一緒にいるのがただただ楽しい、でもそれは好きなのか、どうなのか。

人として好きと、異性としての好きと、全部ひっくるめて好きと。

高学年でどっちかって、自認するのも難しい気もするんですけどね。

 

で、背の高い男の子は、ただただ一緒にいるのが楽しいはずなのに、なんだか少し恥ずかしいんですね。

認めるのがなんだか、難しい。

自認するのも難しい。僕の脳も豚の脳なんじゃないだろうか。

 

そう思っちゃったりするんですね。

www.youtube.com

そこで思い出すのか、クロースなわけですが。

ああ、予告を見たらみないといけないな、って思ったりするわけなんですよ。

 

秘密基地みたいな、トンネルの奥の廃墟、電車の中で遊んでいるんです。

遊んでいると、線路の向こうが見える。

 

でも、線路の目の前には鍵のかかった扉があってはいれないの。

もちろんあっちに行きたいの、でもいけないのね。

 

なんかさあ、うまくいえないんだけどね。

この映画ね、良い映画だったのね。

 

ただ、セリフを言いすぎてるって感じるところ、あるのね。

あの飴必要だったかな、好きって、ダイレクトに発言するの必要だったかな。

 

でも、先生の男だろ、って発言は必要だった気がする。

日本って、男だろ、男らしくない、泣かないの、みたいな暴言が多いでしょ。

あの言葉って、ちょっとずつ刺さるんだよね。

女でしょ、女の子らしく、みたいなの。

 

聞いた時の居心地の悪さね。

どっちかじゃないといけないのかな、って。

お母さんとバラエティみていたとき、息子は全然違うことを感じているの。

ぼくは笑われる対象なんだろうか。

 

この映画、最後は少しふわふわ終わるんですよ。

嵐の日、彼らの姿は見えないんですよ。

 

あの雨が、ガラスにぱちゃぱちゃ打って、下から眺めて、すごい映像なんですよ。

いるんだろうか、助かってるんだろうか。

でも、スパッと切れる。

最終的なエンディングは観客にゆだねているのだが、とてもふわふわしている。

 

あんなに嵐で大雨で、豪雨の中、

さあ、出発の時だ、って。

嵐の音は、なんだかローマの波の音、見てるみたいに聞こえるの。

凄い不穏なのよね、ホラーだよ。

 

それでさ、

服だけはびちゃびちゃ。

でも、嵐があったとは思えないほど快晴で、あたりは雨の水滴すら草木についてない。

 

そうして彼らは、線路の向こうに消えていく。

トンネルも線路も、別の世界へつながる道の比喩。

 

このエンディングを見た時、私の中での気持ちは確定的であったが、

小学生のころに読んだ、子供のいる駅、を思い出した。

あれは、駅のホームで、切符をなくしてしまった少年が、駅から帰れなくなってしまう話なんだけどね。

 

だから、エンディングがふわふわして終わったのはよかったのね。

 

そこに行きつくまでも、もっとふわふわしててもいいかな、って思った。

ただ、とてもよかった。

 

そういえば、この映画、6月に公開してるんですよね。

プライド月間ですからね。

https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/ogp.png

©2015-2019 javok's diary