ダーマーを見ました。
Netflixオリジナルの連続ドラマですね。
10話完結です。
リミテッドの割には長いですね。
このドラマね・・・
面白いんですけど、面白いっていうのなんだか、良くない気がするので、
興味深い
と言っておきます。
まず、このドラマなんですけどね、実話が元になっています。
ミルウォーキーの食人鬼と呼ばれたジェフリー・ダーマーが主役ですね。
17人の若い男性を殺害した連続殺人鬼です。ちなみに同性愛者でした。
言葉巧みに自宅に招き、クスリを盛った後殺して、死姦、死体は主にバラバラにした後、肉を溶かして骨だけにしたり、頭を保管したり、果ては殺した被害者を食べたりもしていました。
な・・なんていうか、文字起こしするとえぐい・・
で、彼の人生いろいろについて触れているのがNetflixのドラマです。
その異常性から始まる1話なんですが、彼がこのように至った背景なども描いています。
元々内向的だったダーマーなんですけどね。
両親は若くして結婚してしまって、ダーマーが幼い時でも、父親はまだ学生なの。
だから、実家に身を寄せて貧乏暮らしね。
奥さんは奥さんで、妊娠時にすごい不安に襲われていて、いろんな薬を飲みまくってちょっと精神まいってたりしてね。
で、夫婦仲はどんどん悪くなっていく。
ヒステリーを起こす妻に、父親は、
お前はロボトミーでも受けていればいい!
みたいなね。
そのうち、全然喋らなくなっていくダーマーなんだけど、唯一興味を示したのが、
動物の死体。
あの子が興味を示すなんて・・と、動物の死体を一緒に探して死体解剖をするにまでなっちゃうのね。お父さんと。
母親は、ダーマーとはかかわりを持ちたくないみたいな感じでね。
そのうち、二人は終焉をむかえて離婚しちゃうんだけど、
その時ダーマーは18歳。
奥さんは離婚が成立するや否や家を出ていくし、父親は愛人とモーテルに行ったっきりで帰ってこない。
一人、広い家に取り残されたダーマー。
これが、分岐点となってしまったのである。
というどん底から、酒浸りに走り、アルコール依存症、ついには・・・。
という展開になっていくのね。
いやあ、なんていうかねぇ・・・。
殺人鬼の孤独みたいな感じも描きつつ、でも感情移入はしづらい境界線をうまい具合に描いているのね。
それでもって、いわばダーマーを捨てた両親を
本当にどうしようもなく、捨てやがったな
って感じがすごいんだね。
まあ、私に子供はいないけどさ、ダーマーが少し可哀そうにはなるよ。
お前が何かしたって、俺のせいじゃない!お前が悪い!っていう父親とかな。
でもさ、其のあと、新しい奥さんには、俺のせいだ・・ってぼやいてるんだ。
その二面性が、なんていうか人間らしいわな・・っていう。
元奥さんもそういう部分があってね。
じゃあ、愛してなかったんだろうか?捨てたよね?だってね?って。
いや違うんだね。
彼らは、ダーマーとの接し方がわからなかったんだね。
若くして子供を持ってしまって、育て方もよくわからなかったのかもしれない。
最初は、奥さんのせいにしたりもしてる父親だったしね。
お前がちゃんと母親をやらなかったからだ!とかね。
結局、いびつな家庭で不安定なまま育ってしまったダーマー。
ただ、父親に対しては愛情を見せ、ありがとうも言えるし、良かったね、うれしいよ、って言葉もかけられるんだよね。
捨てられたダーマーは、人の愛し方がわからないとでもいうように、どんどん若者を襲っていくのね。
衝動が抑えられなくて。
で、ついに捕まるんだけどね。
普通のドラマだったら、ダーマーが捕まるあたりで終わっちゃうと思うんだけど、このドラマはそうはいかないのね。
元々、ダーマーが住んでたアパートでは、人の怒鳴り声がするから変だ、あの家を見に行ってくれ、とか。隣の家からすごい異臭がするから、見に行ってくれ、とか。
警察に相談があったのね。
でも、警察はちゃんと見に行かなかった。
そういう警察側の責任や、人種差別、ダーマーが刑務所に入ってからのその後、というのも描いている。
ある種のドキュメンタリーに近いものをみているような気分にもなったわけだが。
このドラマの非常に興味深いところはなんといっても主演の子かな。
めっちゃキモイのよ。
まあ、吹替でみたんだけど、吹替の人もキモさが出ててよかったよ。
主演の子の演技方法がどっちなのか気になったけどね。
メソッド演技法でなければよいが・・・・。
主演の子は、X-MENにも出てたエヴァン・ピーターズだね。
キモ過ぎて全然気づかなかったよ。
あ。そういえば、もろに男性器出てくる話がどっかであったから注意ね。
そういえばね、このドラマって、新聞記者のNetflixのドラマでもあったように、関係者の気持ちに対する矛盾があるのね。
被害者によりそうように作ってはいるんだけど、それがマスコミに取りだたされて、そして今、Netflixでドラマ化されてエンターテインメントになってしまっている。
新聞記者についていえば、あれはたしかに、ないがしろにするのはよくないの。
でも、日本では、あの事件についてTVが報道できないことを、ドラマ化することで知ってもらうていう点が、ダーマーと決定的に違うのね。
ダーマーは、そういう意味では、エンターテインメントになってしまっているの。あくまで、寄り添おうとはしているんだけど、そこに対する矛盾がね。
ダーマーの父親が本を書いたことを、金儲けだ、と裁判するように。
どちらの言い分も間違ってはいない気はするんだけど。
お互いの気持ちがぶつかっている。
いずれにしても、ある種の金儲けになってはいるのかもしれない。
ある意味、ドラマの中でも矛盾していて、ドラマ自体も現実で矛盾しているから、二重構造的にエンターテインメントに対する皮肉が起きているのかもしれない。
今って、実録犯罪ものが流行ってるんか・・次はゲーシーでもやるのかな・・。テッド・バンディはだいぶ映画化されたからね。
そういえば、このシリーズ、デイビッド・リンチの娘、ジェニファー・リンチが割と撮ってるね。あんまり表に出てこないイメージだけど、ドラマはウォーキング・デッドとかも関わってたんだねえ。
余談だが、あまりにもショッキングな事件だったために、一部事実と異なる描写はある。特に、第一の殺人に関しては、WIKIの内容がえぐすぎて、映像化は無理だわ・・。