ジャスト6.5闘いの証を見ました。
イラン映画ですね。アクションというかクライムものというかドラマというかな映画です。
unextです。
この映画は数年前に東京国際映画祭で上映してた映画です。
ちょうど見に行けなくて見逃したんだけど、当時は中東系の映画が多くて、国際じゃねーじゃん中東とかアジアばっか、ぷぷぷ、みたいな記事を見かけたものですね。。
いや、中東映画の素晴らしさ知らんやろ、記事書いたやつ、って思った記憶があります。
当時、東京国際映画祭はちょいちょい批判されていたのはまぁ、事実なんですけど、そこでしか出会えなかった中東映画もあるにはあったので、ありがたかったんですよね。
ここ数年行ってないけど。
で、ジャスト6.5ね。
この映画は、麻薬組織を取り締まる警察と、麻薬に溺れた人々、麻薬の売人たちなど、色々なひとたちの背景や闘いを描いています。
これねえ・・凄いんですよ・・
何が凄いかっていうと、うまく言えないんだけど。
まず、まあオープニングから取り締まりしてるんだけどね。
麻薬売人側と警察との追っかけっこが始まるんよ。
ただ単に、追っかけっこしているだけなんだけど、
ハリウッドのカーチェイスより迫力があるわけよ。
宙がえりもしないし、窓も割れない、銃も撃たない。
カットが勢い良く変わって、ただひたすらに男が全力疾走なわけよ、狭い路地を。
そこを、少し腹が出っ張った警察が追っかけるんだけどね。これまた足が速いんよ。どんどんどんどん追っかけていって、さあどうなる?って思うと
唖然とする展開になるわけさ
おお、凄いなってね。
と思うのもつかの間、次は麻薬にハマった人たちの描き方だよ。
土管で暮らして、日中から仕事もせずにパイプをふかす。シャワーは、土管の天井から、ちょっと汚い排水を流して浴びる。
土管土管土管。もう圧巻。
この人数と数の暴力はなんていうか、あれを思い出したよ。
毒戦かな。
毒戦は香港映画なんだけど、チョーーーーー面白いんよ。
もうずっとずっと凝視してみてたよ、コレ。本当に面白い。ちなみに、韓国でリメイクもされているんだけど、そっちはまだ見てないかな。
毒戦のOPには負けるけど・・・その迫力感は感じる。
この数の暴力はこの後も多々見られるわけだよ、この映画。
検挙されたひとたちは、収容する場所がないから、とりあえず立たせて整理。座る場所もない。留置所に入れるときは、入りきらなくてもとりあえず、いれる。
でもこのショットは一回じゃない。
詰めろ!いいから奥まで詰めろ!
座れないぐらい一杯になって、息もできないぐらい暑くなっても、そのまま警察は彼らを入れる。
警察の体制が整ってない、ということが色々見られるシーンは多々ある。
ちなみに、留置所に入る前に男たちに服を脱がせるんだけどね。薬もってないかとか確認するために。
でも服を脱がない子たちがいる。
なんで脱がない!どうした!というと、
私は女だから脱げない。
そんな子が何人かいるわけだよ。モノは違うけど、生きのびるためにを思い出したよね。
そういう社会の色々な問題を、わかるようにわかるように描いている。
そして脱帽されるのはこれだけじゃない。
麻薬の売人の家に押し入るシーン。
ハリウッド映画なら、
GOGOGOGOGGOGGOGOGO!!!!!!GO-------!!!!!!!突入!!!
という感じなのに、この映画は違う。
みんな静かに、スサーーーーーーーーーーっと忍び足。
音を立てない、静かに、静かに家に入る。
ぉぉ・・・・・こんな突入シーン初めて見たよ、私さ。
しかも、この大人数で!?
と、凄いなあと思っていると、警察の杜撰なところもちょこちょこあるのよ。
例えば、警察のデータベースで使っているマシンは、
WindowsXPですよ!!!!!!
いやまてよ・・・
もしかしたら、そういうUIメニューにしているだけなのかも・・・・・・。
(いや、PCに詳しくなさそうな人たちがそんなカスタマイズするだろうか?!)
と、私はそこが気になって仕方がなかったよ。
むしろ、台の上に適当な高さで置いてあるカメラか?!
それにさ、お腹に麻薬詰めて輸送しようとした人の胃袋は、すぐに洗浄というか、出さないとやばいんだよ!!!あんた!!!
胃の中で破けちゃったり、溶ける可能性があるからね!!
でも、ずっと警察署で手錠つなぎっぱなし。
危ないって!!!!
もうおなかが一杯になったころ、でもお代わりが沢山やってくる。
この映画では、絶対に麻薬を許さない・・容赦しない・・という刑事と麻薬を売る側、その両方のW主人公みたいな描き方をしている。
警察の人は、もうこれでもかっていうぐらい容赦がないわけよ。
カツどんとか頼ませてくれそうにないけど、子供にだけは優しくしてやる的なな。
その刑事の口撃が凄い
この映画では、兎角、言い争う場面が多い。
要するに会話劇みたいになっているところがやたら多いんだけど。
でも、そもそもイラン映画は会話している映画が多い。
アッバスキアロスタミの桜桃の味は、車に乗って自殺に協力してくれる人を探すというものだったが、とにかくずっと車の中で会話している。
でもこれは穏やかなもので、どちらかというと本作では、別離やセールスマンの雰囲気が強い。
どっちも凄いんだけど、ずっと会話して、イライラして、言い合って、それでも平行線を辿る。会話で体当たりしてくるんだよね。
そういえば別離に出てる人が、刑事役ですね。
こういう会話の戦いが好きじゃない場合は、ジャスト6.5は見るのちょっと辛いかもしれないね。
でもこれやっぱすごいんだよね。
この映画って、ほとんどBGMがないんよ。
でも、2か所でBGMが流れる。
それは、麻薬組織のヘッド、ナサルが自分の感情が最大に振れたとき。
あ・・・ぅん・・・
ってなんか、強気の刑事より、ナサルに感情移入していっちゃうわけだよね。
そうなった理由は、もう口でちゃんとダイレクトに説明してくれるんだけどさ。
何故だかわからないが、この中東の口撃会話劇スタイルは、鼻につかないわけだよね。
何が正しいんだろうか・・・何が悪いんだろうか・・・?悪いんだろうか・・?
とね。
そしてやっぱり、センスあるなと思うのは、あの台だよ。
あの台。
ダランダラン、ガタンガタンと触れるあの鉄。凄いんだよ・・・・・。
と、見ごたえが凄い映画なんですわ。
ボーダーラインみたいな渋さがあるジャスト6.5って感じでしたね。
ちなみに、6.5っていうのは刑事が劇中で会話する台詞からきてる。
俺が刑事になったころは100万人だったけど、いまや650万人だってね。
サイード・ルスタイ監督ですか・・覚えておきましょう。