生きのびるためにを見ました。
ネトフリだと生きのびるためにだけど、原題はブレッドウィナーだからそっちのが正しいんだろうね。
BreadWinnerは稼ぎ手、大黒柱という意味だ。主人公のことを指す。
こちら国際的な問題をテーマにしたアニメになっています。
このアニメは、アフガニスタンがタリバンに統治されていてまだアメリカさんがやってきていない直前の話を描いています。
父と娘は、市場でものを売って暮らしている。娘は周りを気にしながら、頭と顔をヒジャブで覆う。
家には言葉もまだうまく喋れぬ弟と、姉と母。
タリバンの兵士が市場を見回っては、
お前、女にものを売ったそうだな!
と諌められている。
市場を歩いているのは誰も彼もが男。女はいない。
見回っている兵士は同じく父のところに来て、何だその態度は!立て!という。
立ち上がった父親の片足がないことがこのとき初めてわかる。
偉そうな態度の兵士は、父親の元教え子であったが、それがどうした!といばりくさる。
という、このシーンだけで色々な実情が見えてくるアニメだ。
この映画では、後に父親が女に読み書きを教えていたという罪で刑務所に連行されてしまい、生きるために男装していく娘とその家族の話を描いている。
アフガニスタンでは、女性は女性だけで外を歩くことは許されず、物も買えず、読み書きも許されず、金を稼ぐこともできず、成人した女性はブルカという頭から全身を覆ったような服を外出時に着なくてはならない。
このブルカの目の部分は、少し薄く格子状の布になっているのだが、この布が本当に牢獄のように見えるシーンが印象的だ。
夜には出歩いてはいけないという規則があるため、少女は井戸に水を汲みに行く。近所の少年たちがサッカーをしているのが印象的だ。
追い詰められていく彼女は、長い髪を切り、少年として市場に稼ぎに行くことを決める。
冒頭で一度も袖を通していない姉の召し物を物欲しそうにしていた彼女が髪を切るということを丁寧に描くシーンが印象的だった。
全体に悲しみが立ち込めている。この映画では、少女が語ってくれる物語と、現実の話がリンクして進んでいく。物語を語ることもテーマだ。
親父さんは物語の冒頭で言うんだよね。
物語は人の記憶に残る、と。
ちなみに、この映画のプロデューサーはアンジェリーナ・ジョリーも入っているみたいです。
彼女は国際的な問題に切り込むような映画のプロデューサーや監督に最近精を出しているイメージがありますね。