マンディンゴを見ました。
マンディンゴは映画評本をみてると大体出てくるので、いつか読まないとなぁと思っていた作品です。
南部の奴隷時代を描いた作品です。奴隷牧場が舞台ですね。
レッドデッドリデンプションに出てきそうなお屋敷が、林の中にポツンと建っている。
壁はところどころハゲている。
そこをぞろぞろと黒人たちが歩いていく。
軽快なブルースの歌声とともに。
どうやら、奴隷売買の話をしているようだ。
どいつを買うか?という話をする。
ズボンを下ろせ、痔にはなってないな?と、買おうとしている白人男はケツの穴まで覗き込む。
去勢は必要か?と問うと、うちは馬とかは去勢してないんだ、と答える。
そう、つまり、黒人奴隷たちは馬とか牛、家畜と同じという意味だ。
オープニングから、胸くそ悪い売買の話から始まる本作。
なかなかの肝っ玉映画になっている。
この家の息子は足を幼少期のころに怪我してしまい、いつも引きずっている。
それが彼のコンプレックスだ。
そんな彼は、黒人には優しく接している。
ほかの主人のように無意味にムチで打つことはないし、痛めつけられている黒人を見ると嫌な気分になる。
そんな息子への印象は奴隷たちは悪くない。
だが、飽くまでも、奴隷の身分を忘れるな!
と黒人たちを叱る。
処女を抱くのは主人の義務だ、と片っ端から夜の相手にする。
それが当たり前の世の中だったからだ。
この家では奴隷たちを交配させ、子供を売る奴隷牧場として生計を立てている。なんともすごい話だし、ネーミングがすごい。
この映画には色々な黒人たちが出てくる。
家で執事を任されている男は、白人たちが憎くて仕方がないが、彼らの前ではヘラヘラと笑っておべっかを使う。
自分のことをニガーと呼ぶ。
ある黒人は、読み書きもできるが、それを禁じている白人たちに怒りを覚える。
なぜオレたちに宗教や勉学を禁止していると思う?やつらはわかっているんだよ。俺たちが人間だということを。
マンディンゴとは、アフリカのマンディンガという種族から名前が来ているらしい。
この映画では、マンディンゴを手に入れたのか!やったな!証明書はちゃんとあるのか!
という会話が成されるシーンがある。
要するに血統書つきで、相当高価な奴隷を指す。
そうして、マンディンゴと呼ばれる彼らたちは、純血としてほかの奴隷たちに種付させられる。
近親相姦かどうか、それは関係ない。
奇形であれば殺してしまえばいい。
父はそう言うのだ。父との考えの相容れない息子は不満を持っていた。
そんな白人の割には優しい息子を黒人たちは尊敬する眼差しで見ることもあった。
だが、ラストに突きつけられる現実で、ある寡黙な黒人の青年がいう一言は辛いものだ。
その現実は今も続いている。