二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


映画作品鑑賞リスト2024
鑑賞リスト

映画:それでも夜は明ける。自由黒人、拉致られる。

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それでも夜は明けるを見ました。

U-NEXTですね。

 

アカデミー作品賞を受賞しています。

この映画は制作が、ブラッドピットのプランBが制作に関わっています。

ブラッドピットの制作映画会社と言えば、いろんな質の高い映画を連発していますよね。

これもそうですが、ムーンライト、ビールストリートの恋人たち、バイス、ビューティフルボーイなどなど。グローリー/明日への行進など。

黒人に焦点をあてた映画も結構作っている印象があります。

 

ということで、この映画でもブラピはあるカナダ人のキーマンとして出てくるわけですが。

 

本作品で一番私が驚いたのは、

自由黒人でも拉致られて、自由の身を奪われて、奴隷にされる

ということです。

自由黒人という単語自体は、ジャンゴで知りました。

 

javok.hatenablog.com

ジャンゴは、自由黒人らしく、枷も鎖もなく、馬にまたがり颯爽と歩いていくんですよね。

本作ではソロモン・ノーサップなる人物が、ワシントンで

妻と子供に囲まれて、バイオリンのアーティストとして暮らしている、という自由黒人です。

街の人々は、黒人にも丁寧にあいさつをする。

文字もかけるし、教養もある。

しかし、ソロモンはサーカスのツアーに一緒にどうだ?と誘われた仕事で、拉致られて、売られてしまうんです。

う・・売られる!?

ちょっと考えられないよね。どう考えても犯罪なんだし、輸送中の船で白人に逆らった黒人は刺されて殺されたりもする。

尋常じゃねえな。

そのまま、ソロモンは奴隷商人の市場で売られるわけ。

市場はなんだか、部屋の中なんだけどね。

マンディンゴの時は、市場は外の桟橋みたいなところで、みんなで並んで売られていたから色々考えるよ。

 

javok.hatenablog.com

そんなソロモンを1000ドルという大金で買ったのが、ベネディクト・カンバーバッチだ。

カンバーバッチは、南部の白人の割には、黒人に優しく接する。牧師なのかよくわからないが、聖書を白人と、黒人に読んで聞かせる。

南部では、そもそも聖書を読む聞かせるなんてこと、まずさせてはくれない(マンディンゴ)

やつらが、教養を得ると困ると知っているからだ。

困ると知っているということは、人間だと認めていることなんだけどね。

で、カンバーバッチの元で、自分が優秀であるとアピールして、うまくやり過ごしているソロモンに対して、一緒に連れてこられた子供と引きはがされた女性は直接的な言葉をぶつけるのよね。いい旦那様だと思う?自分の素性を教えたときに、なんていうと思う?と。

 

この映画、割と直接的にぶつけてくれる言葉は多い。

裸体も出てくる。

ソロモンの優秀さに嫉妬する田舎の使えない兄ちゃんがなかなかいい。

ポールダノというらしい。

いいな、悪役はえるよ!!君!!

まあ、ひと悶着あるわけなんだけど、このひと悶着のシーンが結構いい。

というか、言葉が一切ないのに、とても長いシーン。

誰も助けない、暑いなか、汗だくで、はだしでつま先立ちで藻掻いている。

誰も助けないのは、助けたらむち打ちが待っているかもしれないから。

自分に災厄が降り注がれるかもしれないから。

とても長いシーン、ここがいい。

南部のニューオリンズでは、スパニッシュモスという植物が茂っている。

大きな木から、枝垂れ木のように、白い髭のようなふさふさしたのが垂れている。

それがスパニッシュモス。

レッドデッドリデンプションでも垂れ下がっていた気がする。

湿地帯を超えるとあるんだよね、アレ。

だからなのか、つま先で藻掻いている地面はぬかるんでいる。

 

カンバーバッチはいい旦那様か。

少なくともマシではあるだろう。

マンディンゴに出てきた旦那様もマシであった。自分の片足が動かないことで、自分が使えないもの みたいな劣等感を常に感じていた。

黒人を痛めつけるのは耐えられなかった。

しかし、そこには明確な差がある。

カンバーバッチも、ソロモンを介抱してやるシーンがある。

きれいなクッションに頭を乗せてやる。でも、ベッドには寝かせない。

まあ、そういうものなのだろう。

 

でも、この映画はちょっときれいなのよ。

まずな、南部の農園主で、もう一人出てくるやつがいるんだけど、

マイケルファスベンダーなのよ!!!!

S感はあるんだけど、彼だとイケメンすぎるやろ!!!もっと汚いやつじゃないと!!()

でもね、妻がサラ・ポールソン。

いいね・・サラポールソン・・・?そこは褒めて遣わす(私が好き)

だからなんていうか、マンディンゴほど辛辣なシーンがないんだよね。

実際、ソロモンがそこまでは見ていないから、という視点にたっているのかもしれないけど。

 

白人の旦那様によるセックスシーンは辛辣と言えば辛辣。

でもね、旦那様にも苦悩があるのかな?みたいな感じを演出してしまうんだよね。

そこいるのか・・・?ファスベンダーだからか?!

だめよ、ファスベンダーじゃきれいすぎる!!!

と、私は色々考えたよ。

そういえば、冒頭の白人女性も結局は泣いていたね。

 

ラストシーンは感動的だが、馬車に乗って見送る彼女のことを想うと、良かったねとは言えない映画なんだよね。

ただ見てよかった。自由黒人が拉致られる話は知らなかったから。

 

エンディングは、いつものようにニューオリンズのあの歌声が聞こえてくる。

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