あなたの名前を呼べたなら、を見ました。Sirが原題です。
Sirとは要するに、旦那様、ご主人様、っていう意味で言っています。
英語でしゃべるときもあれば、英語ではなくインドの言葉でも喋っている映画です。
主人公は、召使いのラトナと、欧米帰りで花嫁に結婚をドタキャンされた旦那様。
落ち込みのなか、ラトナと交流するなかで癒しを得ていく、そんな話になっています。
この映画では、インドのメイドの女性の身分のいたたまれなさを描いています。
ラトナは、若くして結婚をし、そしてすぐ未亡人となってしまいました。
そんなラトナは、都会のムンバイに出ていくときには、腕輪を付け、村にいるときには外しています。
インドで女性が腕輪をつけるのは意味があります。
既婚者は腕輪を付けるのは必須です。
ですが、未亡人の場合はアクセサリーをつけてはいけない。(村によっても意味合いが違うそうですが)
そのため、村に帰るときは、腕輪を外します。
また、未亡人であると花嫁には近づけないという風習もあるようです。
祝いたいのに祝えない、そんな感じはとても悲しみを帯びます。
そんな彼女は、被服の世界に興味があり、将来その種の職業に就きたいとも考えお金をためていますが、ある日ブティックに入ろうとすると、お前みたいな身分の者が何してるんだ!的なニュアンスで店主から追い出される一幕もあるわけです。
そそんんな・・・。と思わずにはいられませんが、着ているもので判断することができるのかもしれません。とにかく、こんなにも格差というか、そういうものがあるのか、と考えさせられます。
そして旦那様は、欧米からインドに帰ってきたわけですが、結婚破断になった以外にも、何か無気力に感ぜずにはいられないところがあるわけです。
そんな二人が、お互いの夢や価値観などを話すにつれ、どんどん共感していく部分が出てくるわけです。
お互いを尊重しあっていく。
大事なことを直接言葉で示すというよりも、所作やシーンで繊細に見せてくれる、そんなことを感じるわけです。
特に私は、屋上のシーンが好きですね。
あそこは空間が分かれていて、家の外なんですよ。
私も今転職活動なんかを踏まえてまた改めて考えることもあり、共感する部分が色々あり、思いを巡らせる映画となりました。
この映画を作ったのは女性だろう、と思ったら女性の監督でした。
しかも、欧米に進学し、働いていたインドの女性監督さんでした。
ロヘナ・ゲラという監督さんだそうです。
彼女も考えるところがあって作ったのかもしれません。
彼女は本作でプロデューサーも兼任しています。
次回作が興味深いですね。