モロッコ、彼女たちの朝を見ました。
その名の通りモロッコ映画ですね。
RakutenTVです。
この映画、けっこ良い映画でした。
THE中東ぽさを持っているんだけど、モロッコって北アフリカなのね。
アラブ文化やヨーロッパ文化なども融合しているということなので、いろいろ他民族なのかもしれない。
原題は、アダムっていうのね。そのタイトルの意味は、後半でわかるんだけどね。
主人公は、二人の女性、そして女の子。
妊娠した身重の女性サミアは職を探して点々と美容院の門戸をたたくのね。
そんな体で働ける?って聞かれるんだけど、泊っていいですか?とサミアが聞いた瞬間、ほかをあたって頂戴、と美容院の人はいうのね。
そのまましばらくは、サミアの顔だけにカメラがフォーカスする。
もしかして妊娠しているのだろうか?それとも何か別の理由が?と思いながら、カメラを追っていく感じ。
しばらくすると、彼女の全身を映したショットになっていて、途方にくれて道端に座り込んでるのね。
またしばらくして、町中を歩き続け、行く先々の家の扉をたたく。家政婦でいいから雇ってもらえないだろうか?
でも、そんなサミアを受け入れる人は誰もいない。
そもそも、モロッコで未婚の女性が、身重で一人歩いているなんて光景に対して、世間は批判的だということがわかる。
そうしてやってきたのが、もう一人の主人公アブラ。
パン屋を営む彼女は、娘と二人暮らし。彼女を泊めることなど・・と思って一度は断るのだけど、店のシャッターを閉めるときに、店の向かいの道でそのまま夜を明かそうとするのが目に入るのね。
一瞬気になったけど、シャッターを閉める。
そのまま寝ようとするけど、全然寝ることができなくなって、ついに彼女に声をかけて家に泊めてあげるわけね。
家に入ってきたサミアの水色の服はよく見ると汚れていて、中のシャツも薄汚れていることがわかるのね。
そのまま、アブラはしばらくサミアを泊めてあげることになってー
という、3人の女たちの共同生活が描かれています。
はあはあ長いあらすじだった。
でさ、この映画ね。
まあ、アブラがパン屋さんだからね、パンをずっと作っているんだけどねえ。
サミアが作るさ、ルジザっていうパンな。
パン、っていうか、パンケーキらしいよ。
めちゃくちゃうまそうなんだよ。本当に。
食べたいんだが??
なんだあのパラパラしたかんじ。おいしそうなんだが?
ていうか、あの平たいパンとか、フォカッチャとか、クッキーとか
食べたいんだが??
っていう、パンムービーになっているのね、まずね。
其のあと、映像としても楽しくさせてくれるのはね、なんといっても映像の美しさなのね。
光が美しいんだ。
まるで絵画みたいに光が降り注いでてな、色合いも絵画の油絵のようでな。
まるでフェルメールの牛乳を注ぐ女なんだな。
みんなでお祭りの前のクッキーを作るところもよくてなあ。小麦粉が光に舞ってきれいなんだな。
サミアが、この小麦粉絶対何か交じってるわ!と言っている映像ですら美しく見えてだな、なんだろうねこれ。
全体的に光のこの柔らかさが凄くてねえ。
で、女性たちは心を通わせていくんだけどね。だんだんとね。
サミアがなぜ一人で子供を産もうとしているのか、其のあとどうしようとしているのか、っていうことがだんだんとわかってくるんだけどねえ。
アブラは多くをいわないのね。こうするべきだとか、どうするべきだとか。
あなたが決めなさいっていうのね。
アブラはきっと今まで自分で全部決めてきたんね。芯の通った地に足が生えた女性なんだわ。
この映画はさ、サミアが何をどう決断するのか、その葛藤が
やたらと長いのね。
時間としては一日とか、もしかしたら一日ないんだけど。
もうすごい葛藤してるんだよね。
その葛藤ぶりがすごいんだ。
でさ、それが、この映画全編通して柔らかい光だったはずなのに、突如として戦慄をかんじさせたりするのね。
どうするんだろう?どうなっちゃうんだろう?って。
と、光は柔らかいのに目が離せない映画なのでした。おすすめです。
配給はロングライドだって。どんな映画配給してたっけ・・と思ったら、判決、ふたつの希望とか、家族を想うとき、ブックスマートを配給してるみたいですね。