浅草キッドを見ました。
ネトフリオリジナルですね。
これ、やたらCMしてて見る気を喪失してたんですが、正月だしとみることにしました。
少しネタバレで話そう。
柳楽くんがビートたけしを演じていますね。
ちょっとぽっちゃりした感じで、背が低そうで、顔がちょっとパチパチするんよね。
わたしあれ、バイク事故のせいかと思ってたんだけど、昔からなのか。
映画の冒頭はたけしの後ろ姿から始まる。
声の吹き替えがたけしかと思ったけど、クレジットみたら松村邦洋だったね。
柳楽くんの特殊メイクと、松村邦洋の声だと、そのものに見えるな、パット見。
ハリウッドがメイクやったら、もうたけしにしか見えんな。
テレビの司会な準備待ちで、袖でタップダンスをするたけし。
浅草時代と、現代を行き来しながら物語が展開する。
浅草にフランス座っていうストリップ劇場があってね。
そこで、たけしが弟子入りすることになる師匠が出会う。
ストリップの合間に、コントや芸を披露する演芸を営んでいてね。
たけしもそこで舞台に上がったりしていくことになるんだけど、時代はテレビ。
どんどん人が減っていく中、変わらず信じ続けようとする人々の間での葛藤やドラマを描く。
まぁ、この映画を見て思ったのはね。
ネトフリでこの映画をやるっていうのが少し皮肉かなって思うんよね。
時代はテレビだ、っていうでしょ、映画の中で。
演劇場からテレビだって。
いま、またそういうの起きてるじゃん?
時代はストリーミングだ、テレビは終わった
みたいな、皮肉を感じるよね。
ネトフリがこの映画をやるから余計にそう感じてしまうのかも。
そうして、リアルの演芸にこだわり続ける師匠深見と、人がいるところで勝負しなきゃ意味がない、とたけしが衝突していく。
でも、たけしは師匠の教えを守り抜くのね。
俺は笑われてるんじゃない、笑わせてるんだ。
わたしが廃れていく寂しさを感じるのって、深見にじゃないんだよね。
鯨を喰って、芸を磨け!みたいなのれんが書かれた居酒屋あるでしょ。
あそこで、みんなくじらを芸って読んでたんだけどね。
鯨をげいって呼ばなくなっちゃう人がいるのね。
くじらでも、げいでもどちらも読み方は正しいんだけど。
そうして、去っていく後ろ姿と声には、わたしがかつていた世界、そして違う世界、という寂しさが見えてな。
劇団ひとりの陰日向に咲くは、陰気臭くて苦手だったけど、浅草キッドは良いね。
カメラがずっとたけしの背後をついてまわる映像。
あれも今っぽい作りだけど、日本映画じゃまずやらないでしょ。
フランス座ってこういう感じで生きてたんだな、という感じがしていいよね。
いい役者になったなぁ。