スイング・キッズを見ました。
新規入荷を去年だったか今年したときから気になっていた韓国映画です。
SUNNYのカン・ヒョンチョルがメガホンをとっています。
率直に言いましょう。
良い映画でした。
本当に韓国映画は見ないといけない映画が多いんだけど、日本で公開されなさすぎて(スウィングキッズは2020年に日本公開はされています)
もっともっと韓国映画をTOHOとかでもやってあげてよって思う。
主演は、EXOのD.O.(すまない知らない)、ジャレッド・グライムス(タップダンス最高峰)と実力派が名を連ねる。
というだけあって、
ダンスがうまい!!
そして愛くるしい!
中国人のシャオパン、4か国語話せる才女ヤンパンネ、奥さんと会えることを願った誠実旦那カンビョンサム!と、個性的な面々が脇を固める。
もう愛くるしいのである。
とくにシャオパン。韓国人のキム・ミンホという役者が演じているのだが、
想像を絶するほどかわいい!
登場シーンから、観客を引き付ける魅惑のダンス!
踊れば踊るほど、シャツがはみ出てくる腹!
いうなれば、忍たま乱太郎のしんべぇの鼻水みたいなもんだ!(ほめてる)
雨が降りしきるなか、カンビョンサムとダンスが本当に大好きで踊るさまが本当に好きだ。
と、好きなことを先に言いすぎたけど、この映画は、朝鮮戦争の最中、ジュネーブ条約にのっとって、人間的な扱いをするという立ち回りの元、ダンスさせてみたらえぇやんん、と当時の署長が黒人のジャクソンに指示を出すのである。
ジャクソンも1960年頃の当時、人種差別的な扱いを受けてもいたが、沖縄に想い人を残してきた手前、アジア人たちを躍らせていい感じになったら、沖縄に行かせてやるとも言われて、なんとなしにアジア人のダンサー選考を行うこととなる。
少しだけネタバレで話すと、
この映画で、目を見張るところはなんといっても、戦争と捕虜生活の間の暮らしの最中、途中でスムーズに切り替わるミュージカル的なダンスシーン。
包丁で食材を切っている音がリズムに聞こえ、洗濯で布切れを叩く音がリズムに聞こえ、いびきさえリズムに聞こえ、タップダンスが朝も夜も頭から離れない。
本当にダンスが大好きなんだ。
と感じるのである。
カンビョンサムが、ダンスをやめようとホールを出ようとしたときに、ジャクソンは、シャオパンのかけた曲を
そのままでいい。と言い放ち、自ら踊り始める。
それに追随する二人。
その音(踊る)を、振り向きもせずにカンビョンサムは、床を見つめながら立ち止まる。
あぁ、俺は踊りたい。踊りたくてたまらない。
一言も発しない、このシーンの素晴らしさたるや。
そうして、ダンスが大好きな登場人物たちに感情移入していくのである。
が、物語はタダでは進まない。
共産主義を貫かなければならない主人公は、ある矢面に立たされてしまい、物語はあらぬ方向へと進んでいく。
この物語展開が、韓国映画だと感じる。
韓国映画は、どんなにコミカルに演出していても、絶対といっていいほどシリアスなドラマを含むストーリー構成を紡ぐ。
この物語の終結には、賛否両論ある気はする。
主人公の友達が、主人公に問い詰められていうセリフがある。
アメリカとロシアが、資本主義と共産主義を作った。人を殺し、国を分ける思想がばかげている、と。
確かに彼の言う通りで、祖母を救いたい、彼が一番まともなのだ。
なんとか主義とか、ほげほげ主義とか、ほにゃらら主義とかどうでもいい。
これが好きだ、と叫べる人生を送ろう、
そう思わせてくれる映画でした。