血を吸うカメラを見ました。
原題は、Peeping Tom
のぞき見トムって意味です。ただこれはすけべ野郎って意味になります。
これもそこそこ古いんだけど、たまに映画評で引用されることがあると思って積みだったやつ。
元祖サイコホラーと言える作品だ。
結構面白い映画だった。
主人公はカメラマンの男。
何かをじっと見つめて、口数は少ないが、どこかミステリアス。
でも礼儀正しく、紳士的だ。
映画の冒頭から撮影方法が面白い。
なんてったって、一人称視点!!!
こんな時代から、ホームビデオ方式の撮影してたんですね!!
すいません、知りませんでしたぁあ!!
と、頭を垂れる感じ。
もう目が話せない。
オープニングも決まっていて、テーマに沿った映写機が回っている。
主人公は、冒頭の方ですぐに発覚するのだが、殺人を犯してしまった男だ。
なんでも映画を撮っているという。
足音を忍ばせながら、自分のアパートへと帰っていくが、1階に目の見えない母親と住む娘は、この主人公に興味があって部屋を訪れる。
人付き合いが苦手そうな彼は、今日が誕生日だという彼女に、自分の幼少期の頃を父親が撮影した映像を見せる。
最初は、楽しそうにみていた女性だったが、その映像に言いしれぬ不快感を感じて、部屋を出ていく。
それにしても興味深いのは、映写室の中に置いてある椅子には彼の名前が刻まれている。
この映画では三つの面白い展開がある。
一つは娘の母親が目が見えないということ。
二つ目は主人公の秘密が発覚してからの展開。
三つ目は主人公、殺人者側の苦悩する心理。
彼は、恐怖におののく人間の表情を撮らずにはいられなかった。
殺すのはすべて女性だ。その女性たちに鋭利な凶器を突き刺すのだ。
それはもはや自分では止められない衝動となっていた。
しかし、彼は後半になるにつれて、撮りたい欲望と、完璧な映画を撮る欲望と、撮りたくない欲望に苛まされていく。
どんどんと展開が見離せなくなっていく。
ラストのセリフでついに彼は解放されるのだ。
ちなみにこの映画は公開当時にめちゃくちゃたたかれたそう。
主人公の男は殺人者であるにもかかわらず、悪いやつではなく、当たり前のように女性に恋をする。
連続殺人犯は悪いやつじゃないといけないからだ。とそんな変態映画を撮ってしまったためにイギリス映画界を追い出されたマイク・パウエルの解説はこちらをどうぞ