二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


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ドイツ映画祭2019:父から息子へ 戦火の国より

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行ってきました。ドキュメンタリー映画。

ドキュメンタリー映画ってあまり見ないから、ピラミッドのドキュメンタリー映画以来かなあ。

 

中々、淡々としているんですけど、監督は、あまり何も言わないんですが、映像で思うことを体現している感じのドキュメンタリーに仕上がっていました。

見終わった後の感想としては、

トークショーで聴きたいことが色々あるんだが!!

 

ていう感じのドキュメンタリーでした。

この映画ですね、ていうか監督ですね、ドイツに今は住んでいるんですが、もともとはシリアに住んでいた方のようですね。映画の中でそう語っています。

アルカイダ系のヌスラ戦線という組織に入っている親父さんの一家に2年半に渡り密着したドキュメンタリーとのことで興味を持って見に行きました。

 

ん??アルカイダ系の家族に密着????

普通は、なんていうか、虐げられている??一家とかに密着するものではないのん?

ていう、めずらしさで見に行きました。

 

見に行ったところ、監督は早速、アルカイダ系の家族にお客さんとして迎えられるために、彼らの思想に傾倒しているというか、理解を示すふりをして近づいたと語っているところがあるんです。

 

おいおい。中々やるな君。

 

と思いながら鑑賞。そして次にびっくりしたのが。

家族がべらぼうに多い。

でもね、テレビの画面に出てくるのは全員男の子なんだ。

女の子はうつしちゃいけない決まりとかあるのかな・・・・・?

そこらへんはよくわからなかったんだけど。

一見、普通に家族団欒で過ごしているのかと思うと、ふとした瞬間に、壁には小銃が立てかけられてたりする。

2歳の男の子や、10歳の男の子とかが普通に歩いているところに。

すげー銃が身近なんだなと、感じる構図だ。

 

そして、このお父さんは子供が8人いるという。

もっと子供を産ませたい、後4人は増やしたいのだという。

なんと、みんな子供を自分が所属しているヌスラ戦線に入れるんだ、というわけなんだ。

 

お・・・おう・・・?

 

すごい親父だな・・。母親は反対しないのか・・・?

でもその母親は画面に出てこないから、彼女の思いはわからない。

そんな時、息子の一人が小鳥を一羽捕まえた。

親父が離してやりなというと、弟に決めさせるという。

しばらくして、下の弟がやってきて(3歳前後?)、

僕、小鳥を殺したよ、

と親父に自慢するかのように話しかける。

 

えまじなん?

 

知り合いの親父さんは、笑顔で殺したほうがいいだろう、というのだ。

そして、子供は、生き物を殺すのは何故なの?と親父さんにとう。

食べるためだよ。

そう言った発言のあと、下の弟は羽のむしられ頭の無い小鳥を持ってどっかに行ってしまうのだった。

 

なるほど・・・・?

これは考え方の違いなのだろうか?

というか、思い返すと、小さい子供というのは、無邪気に残酷で、私も蟻を捕まえていけないことをしていた・・・・。でも、それがいけないことだとわからない。

 

そういう時分から、彼らは教えられていくのだ。

しかし、見ていると、なんだか、

どっちが被害者で加害者なのかよくわからなくなっていく。

そして、彼らの親父さんは、事あるごとに口にする言葉がある。

 

神のお言葉だ、神のお告げだ、神が与えた。

 

正直、これが日本人にわかるものなのか、よくわからない。

自分は、まあ、お寺にはいくけど、神様というものは、守護霊みたいなものであって(いたとしても)、

それは自然とかに近いものだと思っている。

要するに、神様の中に自然があるんじゃなくって、自然の中に神様があるという感じ・・?

 

だもんで、なんでもかんでも(かんでもかはわからないが)、

神様の〜神の〜と言われると、なんだかよくわからない。というか理解しがたい。

宗教の違いというか、価値観の違いというか、それは信じるものが違うのだなと、思ったりもする。

 

そうこうしていると、彼らはどんどん成長して、ついに戦士として、成長させられる時がやってくるのだ。

 

彼らの訓練風景が中々衝撃的だ。

小学生なのか、という思しき年齢の子供たちに、肩幅より少し大きめに、足を開かせ、慣れろ、と言って小銃でその間に一発。

頭から数センチのところに一発。(地面に寝かせる)

淡々と、しかし着実に彼らはそうなってしまう、そうなっていくしかない人生がある。

 

見終わったあとの感想は、辛いとか、悲しいとかじゃなくて、

しかし、どうすれば・・・・? という虚無感かもしれない。

©2015-2019 javok's diary