二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


映画作品鑑賞リスト2024
鑑賞リスト

映画:ザ・ヒューマンズ。たわいもない会話。どこかにいる家族。

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ザ・ヒューマンズを見ました。

U-NEXTですね。

元々は、舞台劇、HUMANSの映画化だそうです。

ちょっとネタバレしつつの。

 

ある、NYのアパート。

とあるカップルが引っ越してくることになったんですよ。

で、ちょうど感謝祭の日でねえ。

 

彼女の家族が総出で、一室に集まるのね。

そこでたわいもない話から、見え隠れする諸事情、っていう。

 

 

そうなんですね。

この映画あまり、ダイレクトなことは言わないの。

いうときももちろんあるけどね。

 

最初はたわいもない会話ずっとしてるんですよ。

狭い廊下をおばあちゃんの車いす、全然通れない。

壁も剥げてるし、床は軋むし、携帯の電波は通らない。

エレベーターの入り口は落書きが書いてあるし。

 

ホントに、ここにするのか?って聞くの。

でも、それ以上はしつこく聞いてこない。

 

ああ、ですよね、わかりますよ、ですよねって。

よく考えてみよう。

ここはNY。

 

どんだけ家賃高い場所だと思うの。

カップルは、どうやら「ちゃんと」は働いてないみたいなの。

お金がないみたいなのね。

 

両親、思っていることあるようなのね、でもちゃんと言わないのね。

どんどん見えてくるんですよ。どこにでもいそうな、家族だけど。

 

最初はたわいもない会話なんですよ。

だから、ちょっと暇かなって思っちゃうんです。

でも、だんだん気になってくる。

 

部屋の一室を入口の外から撮るような、第三者的な、舞台的な、少し遠くから眺める視点。

私たちは部外者なんですよね。

 

トイレの水はひねると下に滴り落ちてくる、壁を伝って水漏れしているようだ。

よくトイレにいく妹。

どうやらSNSをチェックしているようだ。

彼女の眼鏡に反射する。

 

この映画は、「反射」もうまく使う。

映画でよくあるのは、車のミラー越しに、会話している相手の嫌そうな顔だとか、そういうのが婉曲的に見えることはよくある。

それがこの映画では少し違う。

すりガラス越しにぼやけて人物が見える。でも何をしているか想像がつく。

何回もトイレに行く妹の眼鏡にSNSをスクロールしてチェックしているのが見える。

遠景でぼやけたような映像かというと、とてつもない接写でぼやけていることもある。

よく顔が見えない。

 

この映画は、想像させる ということをしてくる。

この人はどうしたのだろう、どうしてこんなに悲しそうなのだろう、何をイライラしているのだろう、と。

 

そういうのを興味深くみるための映画ともいえる。

父親は、常に金の事、金がないと何もできないという。

そして、娘を批判する。

批判から入る父親なのだろうなあ というのがよくわかる。

すると、後半で彼の職業が判明する。

しかしながら、それと相反する事実が出てくる。

 

NYのマンハッタン、中国系のストリート街に位置するこのアパートの屋上はとても暗い。

悲しくてどうしようもないのに、遠くに見えるビルは煌々と光り輝いている。

アパートの屋上は、とても暗い。

まわりに光はほとんどない。

俳優の顔も見えない。

 

屋上にでると、横にスライドしていく。

ああ、凄いなあと思うんですね。

 

そして、お母さんね。

お父さんもお母さんもイライラしてるんだけどさ。

タクシー頼むときに、ちょっとしたお金もケチって節約。

どうして、こんなことになったんだろうかと。

娘にありがとう、と言えない父親。

「酔ってて娘にありがとうも言えないの?」

 

激昂しているわけでもないけど、重い言葉が聞こえてくる。

そしてラストシーン。

 

暗いアパートの中で、言葉が聞こえる。

何と言ったか。聞いてみて。

 

とても暗くてギスギスしてて、ああ、絶対正月集まりたくねえな と思ったりもする。

でも、少しだけ期待を持ってもいいのかもしれない、そう思うんですね。

来年の感謝祭は、この家族どうしてるかね。

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