ヘイト・ユー・ギブを見ました。
この映画を見たきっかけは、主演の女の子がアマンドラ・ステンバーグだったからです。この子を知ったのは、エブリシングを見た時でした。
凛としている中に、目元のはっきりした眼光が素敵だったんですよね。エブリシング自体は、ティーン向け感のある恋愛ドラマでした。
ヘイト・ユー・ギブはというと、ガーデン・ハイツというところで暮らしている主人公スターが、幼馴染のカリルと車でドライブしていたら警察に止められて、射殺されるというあらすじになっています。(ちなみに、この下りは予告で描かれている)
最初に言っておくと、この映画はティーン向けになっています。
すごくわかりやすい展開とストーリー、主人公が高校生ということもあり、ティーン向けであることは如実にわかる。
元々、ヤングアダルト小説ですね。
でも、わかりやすいだけあって、言葉のセリフ一つ一つが、今の社会の問題を提議しています。
少しネタバレで行きましょう。
スターは、幼い頃、友達を殺されました。その事件があって、両親は地元の学校から、私立の学校に転校させます。
彼女が私立に入るにあたって、親父から冒頭に警察に職質された時の教えを受けるところが強烈的です。
警察に質問されたら手を出すんだ
というわけです。たとえ自分が悪くなくても、手に何も持っていないことをアピールしろと。たとえお父さんが悪いことをしてなくて捕まったとしてもこれだけは覚えておけ、と教えるわけですね。これが、後々の伏線になるわけですけど。
そんな訳で、私立に通うことになったスターな訳です。
スターは、地元にいる自分のことをスター1、私立にいる自分のことをスター2と呼びます。
スター2は、スラングも話さないし、悪態もつかない。なぜなら、自分が話たらギャングになっちゃうからと。
皮肉にも自分でひとりごちて、ティーンらしく、好きな男子の紹介へと遷移していく。
白人の友達に白人の彼氏。
スター2は、自分の家の場所は明かさない。だって、ガーデン・ハイツのことがバレたくないから。
そんな彼女は、予告にあるように、友達を失う。
そうして、白人の警察官を起訴するための大陪審の場で、証言をする話へと展開していく。
この過程で、スターは苦悩していく訳だが、ちょいちょいそんな都合の良い展開は存在するのか?という場面が出てくる。
たとえば、偶然にも白人の友達のバッグにブラシが刺さっていたり。
たとえば、偶然にもキングと対峙するといった時に警察官が現れたり。(2度目の方)
そんなバカな!と思わずにもいられないシーンだが、それはちょっと脇に置いておくとして、わかりやすく今の黒人と白人の関係性を表す会話が出てくるシーンが印象的。
スターの警察官のおじさんと、スターがキッチンで会話するシーンだ。
黒人が、車の中に手を入れていたら、銃を出すんじゃないか?と警察官は思う、その時、手を上げろ!と警告はせずに、黒人に対して銃を打つ。俺もそうする。と。
しかし、そこでスターは問う。
スーツをきた白人が、車の中に手を入れて、銃らしきものを取り出したら、どうするのかと?
するとこうだ、
手を上げろ!と警告すると。
非常にわかりやすい例えだ。例え、ガーデン・ハイツが危ない場所であっても、おそらく白人であれば手を上げろ!と言うのかもしれない。
そこで、おじさんは言う。
複雑なんだよと。
スターは、そこで、
私にはシンプルなことに思えるよと。
まっすぐなティーンだからこそ言える言葉だ。
そういえば、スターが白人の友達と、バスケットボールの練習中に、チキンの話で喧嘩するシーンが出てくる。
なぜスターがチキンの話で怒ったのかといえば、グリーンブックでも同じような話があったので、明らかだ。
スターは、それで怒る訳だが、友達はスターがなんで怒っているのかがわからない。
知らないからだろう。
知らないことも罪なのだろうな、と私は思った。
この映画は、結構黒人側の視点で撮られていて、見ていてふと、白人サイドは描かなくても良いのだろうか?と思いながら見ていた。
一応、映画の中でも、白人警察官が、どのような思いでガーデン・ハイツをパトロールしているのか、どうして黒人たちに対して警察官が横暴なのかについて少し説明がある。友達の家で流れるニュース映像がそうだし、警察官のおじさんとの会話にも現れている。
どこまで要素を入れるのかって言うのは、なかなか難しい気がする。
スターに感情移入するためには、ここら辺までの情報でとめておくと言うのは妥当な気がするし、スターの視点で描いているので比重はどのみちかけられない。
そうして、スターがどんどんと、この理不尽さへの怒りを持ち始める訳だ。
ヘイトユーギブ 。憎しみ合うことが罪だ。
この映画は、非常にわかりやすく、メッセージを伝えてくる。
そして、主演の子も眩しいし、凛としてて良い。
でも、なんだがとてもキレイ過ぎる気もする。
グリーンブックでも、マハーシャラアリがいっていた。
普段こういう映画を見に行かない人たちが、足を運んでくれれば、それだけで価値がある。
メッセージがわかりやすく伝わっている、それだけ成功したと言えるのではないか、そう思う映画でした。
子供に見せたら良い映画かもしれない。
ちなみに、杖の伏線と最後のセリフをかけているところは、何気にネタ的にふっと笑える。