フロリダプロジェクト〜真夏の魔法を見てきました。
久々に、
涙 腺 崩 壊
しました。これは、この世界の片隅に以来でしょうか。
ちなみにですが、まだ未鑑賞の人は、
wikipediaでストーリーだけは見ないようにしましょう。
半分ぐらいはネタバレです。
そして、すいませんが私もネタバレで書いちゃいます・・・・。
気をつけてね!!
あらまし
ハイウェイ近隣にはモーテルが隣接している。そんな中、ボビー(ウィレムデフォー)が支配人のモーテルには、ムーニー(主人公)ほか色々な家族が暮らしている。
もちろん、宿泊客ではない、そこに住んでいる人々。
近隣のモーテルに住んでいる子供達はみんな友達だ。
そんなムーニーの家族の話をムーニーとボビーの視点から描く。
モーテルでの暮らし
この描写が多いですね。
その日暮らしなのか、家がない人たちがフロリダで、安モーテルで暮らしてます。
宿泊じゃないのはホントはNGなんだけど、結局みんなそこに住んでいて、貧困具合がうかがえます。
また、子供達は学校にいってないのか、常にモーテルで遊んでる。
ここからも、子供達は学校に行くお金がないことがわかります。
しかし、近所の子供達と遊んでいる感じは、何だか団地のようで、
団地文化みたいなものってあるんだな〜としみじみ思いました。
そんな中、ムーニーの母親は仕事もせず家にいます。
職安にいくも、仕事を探してくれないアンタが悪いのよ!
汚い言葉を職員に浴びせつつ定職につきません。
家賃が必要な時だけ、近隣のホテルにいって、まがい物の香水を売りつける。
そんなその日暮らしみたいな生活が見えてきます。
ママ友の存在
そんな彼女にも下の階に住むママ友がいます。
いつも娘がつるんで遊んでいるスコッティの母親アシュリーです。
彼女は、定職につきレストランで働いています。
お昼頃になると、メープル入りのワッフルを、
スコッティ、ムーニー、ムーニーの母親に恵んでやり、3人で食べています。
ここからも、だいぶ貧困具合がうかがえます。
伏線の貼り方が丁寧で素晴らしい
この映画でいいな、と思うことはいくつかあるのですが、一つはこれです。
ムーニーの母親は、働かず(ホントは働きたいと思っているかもしれないが)、
家にずっといます。
金に困ると人を騙してものを売りつけたり、結構いろんなことをしているわけです。
しかし、一日40ドル弱の宿泊費の支払いにも困っている。
金に困るとホテルでまがい物の香水を売りつける日々。
そんななか、ついに彼女はホテルの警備員に注意を受けます。あわや警察に
連れて行かれそうになるなか、何とかモーテルに帰るも、彼女の稼ぐ術がなくなってしまうのです。
そこで彼女はモーテルで売春に手を出すわけですが、
これが6歳の娘の視点からなので徐々に丁寧にネタを明かして行くのが素敵です。
家にいつもいる母親は、ムーニーとお風呂に入っているシーンが最初に出てきます。
しかし、しばらくすると、
ムーニーは一人でお風呂に入るようになるのです。
しかも、ダンスミュージックが何処かからか聞こえてくる。
そこそこ大きい音。
一人でお風呂に入るシーンは何度か出てきます。何度か出てきた後、とうとう
男の人が、
”おい、子供がいるじゃないか”
と。ムーニーの母親はモーテルの部屋で売春していることが分かるのです。
また、ボビーはいつも3階の外廊下でタバコをふかしているのですが、
ムーニーのいる部屋から、男の人が部屋から出てくるのを目撃するのです。
しかも、そのショットの前に、
その部屋が、ムーニーの部屋であることが分かるようなシーンを
さりげなく入れてくるのです。
いいですね、いいですよ!
しかも、ムーニーの母親の宿泊費の払いがよくなったことを不審に思ったボビーが、アシュリーにプールで、
最近、ハリー(ムーニーの母親)に家賃を貸したりしていないか?
と、聞くのです。
いいですね、いいですよ!
ちなみに、ハリーが部屋でムーニーと一緒に水着をきて、自撮りをするシーンが出てくるのですが、
な、何とこれは売春相手を探すための道具として使われることになるのです。
ああ、もう切ない。
ちなみに、それが確定するのは、アシュリーとの口論になった時です。
アンタがやってること分かってるんだからね。と言ってSNSと思われるページを
ハリーに見せるのです。
ダァああああああああ!!
ボビーから観た視点
ボビー(ウィレムデフォー)から観た、この親子の物語の視点がすばらしいです。
すばらしいというか、切ないんですよね。
子供達はいたずらばかり。悪さするし、マジ迷惑。
プールに死んだ魚はぷかぷか、ロビーにアイスを落とす、ブレーカーは落とす。
邪魔ばかり。
でも、悪いことをしても出て行けと脅しても、追い出しはしない。
彼も、この親子の境遇を分かっているだけに、出て行けとは言えないんですね。
でも、彼は何もできないんですね。
観ていることしかできないんです。
そうなんです、観客と同じなんです。
ちなみに、彼は結婚指輪はしているんですが、彼の家族は出てこないんですね。
もしかしたら、エレベーターに重いものを運んでいたあんちゃんが息子だったのかもしれないですけど(セリフ見逃してたらすまそ)、
そこから見えるのは、自分の家族は失ってしまったけど、この仕事、このモーテルに住む人たちは、彼にとっては家族のようなものだったのかもしれませんね。
余談ですが、彼は事務処理でパソコン作業をしているシーンとかが出てくるんですが、全部人差し指でキーボードたたいているんですよねw
このシーン可愛らしくて結構好きですね
暖かさと切なさの交差
この映画、 暖かさと切なさが交差します。どういうことかというと、
ブルーバレンタイン手法です。
良い時と悪い時を交互に演出するんですね。
ハリーとムーニーが楽しく遊んでいたり、子供達できゃっきゃ遊んでいたり。
かと思うと、何か不安を思わせるようなシーンを差し込んでくる。
これのおかげで切なさ倍増です。
また、ハリーとムーニーが遊んでいるシーンは、ハリーがまだ子供すぎるということも表しています。
全体的に、ハリーは反抗的で、ボビーにも、他の周りの大人にも、この境遇にも楯突いているのです。
私のせいじゃない!
なかなか、ボビーと喧嘩した時にドアに貼り付けたものは笑っちゃいましたけど・・w
でも、アシュリーは子供を持ちながらも働いているんですよね。
色々思うところはありますね。
一人になるべくしてなっていく母親を感じます。
子供達も素晴らしい
ムーニーが、ディズニーホテルに泊まる予定だった、ハネムーンの観光客を観て一言。
あの人もうすぐ泣くよ、泣く時って分かるの
という一言をいうんですね。
きっとこの子は、人が泣くところをたくさん観てきたんでしょうね。
もしかしたら、それは母親の姿もあったのかもしれません。
それにしても、この貧困の子供達の軍団を観ていると、何だか是枝監督の誰も知らないを思い出しますね。
さて、そうこうしていると、ついに児童福祉の注意を受ける事態になってしまうのです。
原因は、ハリーの売春です。
そんなある日、母親は香水を売りつけていたホテルに行って、娘にビュッフェを山ほど食べさせるのです。
ラズベリーとストロベリーを一緒に食べてみるわ!まっずい!
私が妊婦さんぐらいお腹が大きかったら、あそこにたくさん詰めていくのに!
と、娘の顔にだいぶクローズアップして撮影するのです。
ふちの方は、歪んでいます。
ひとしきり娘が食べ終わると、今度は母親のカット。
目が、死んだ魚のような目をしています。
そして、店員に部屋番号を聞かれ、モーテルの部屋番号の
323号室よ、と伝えるのです。
このホテルに宿泊していたら、という皮肉と切なさを感じます。
そして、モーテルに帰ると、部屋の前には人だかりが。
警察と、児童福祉司がいたのでした。
そうです、これは娘との最後の晩餐だったのです。
涙 腺 崩 壊 するぅうううああああああ!!!
娘と引き剥がされることになるムーニー。
最初は何が何だか分かっていなかったムーニーも、スコッティと別れを告げる時に、
スコッティから、
他の家に行くの?と言われたことで気づくのです。
やだ!!!!行かない!!!!!
と行って、彼女はモーテルを飛び出し、近所の親友の子の家を訪れるのです。
息を切らせながら、彼女に、涙ながら伝えるのです。
もう会えないと思うから。
理由を親友が聞くと、わからない。と。
そして、親友は、ムーニーの手を引っ張って、
家からそう遠くない夢の国へと引っ張って行き、
園に入り、お城の目の前まで二人で手を繋ぎながら走っていくのです。
そこでエンドロールが。
ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
なにこの終わり私呼吸できない!
ということで、いい映画でした。
おすすめでした。