西部戦線異状なし(2022)を見ました。
Netflixです。
戦争映画ですね。
元々は、西部戦線異状なし(1930)のリメイクにあたるのかな。映画のリメイクととるのか、原作のリメイクととるのか。そこは定かではない。
主人公は、とある学生なのだが諸君英雄になれ!祖国のために!と、戦地に送り出されるわけですね。
そこで、フランスとドイツとの闘いの最前線にて、いち兵士として戦うことになるわけなんだけど。
塹壕戦での戦いをとある10代の若者の視点から描く、そういう話になっています。
が、
1930年の、その映画とは全然別物になっています。
映像的なリアルさでいえば、2022年版のほうが、よりリアリティはあるのですが、訴えたいリアルさとしていえば、1930年版のほうが遥かにいいんですね。
元々、西部戦線異状なしでは、学校の教師に、君たちは祖国のために英雄になるのだあああああああ と扇動されて、いいように調子にのった学生たちが
ピクニック気分で戦争にいっちゃう冒頭
っていうのが、1930年版はすごいんですよ。そこへきて、ひぇええええ 帰る・・・!!と、塹壕から出ていこうとするのを、年上のおっさんたちが止めようとするんだけど、怖さのあまりに塹壕からでてしまって、ドーン!!とやられ・・。
塹壕の砲撃に耐え抜いたかと思えば、すぐ闘いに行く。
ごはんを食べる暇も、休む暇も、寝る暇もない。
そうして、たくさんの学友を失っていくなかで、なんでこんなところに来てしまったのかという想いと共に、早く帰りたい、と。
1930年版では、ケガをして一時帰宅するわけですよ。そこで、母親や妹と再会するんですね。
ああ、帰ってこれてよかった。でも、4日後にはすぐ前線にいかなくてはならない。
1930年版では、パブでのおっさんたちの将棋の駒でも操るのかのような、机上の空論ボードゲームに嫌気を指しつつ、扇動される学生たちを目の当たりにし、なんという惨いことかと主人公が意気消沈する。
戦争なんかにいってはいけない、来てはいけない。と。
だが、結局前線に引き戻された主人公が、自分の隊に帰ってくると、知っている顔は2人しかおらず、ほとんどが新兵。
何歳だ?と聞くと
16歳だ。という返事が返ってくる。
自分より3歳も若い。どんどん子供を送り出しているのか、この国は。
そうして、戦争に病まれていく主人公のえげつなさを、ダイレクトに伝えてくる。それが、
1930年版の西部戦線異状なし、なのだ。
爺さんが始めた戦争を、若者がする。
爺さんがやめない戦争で、子供が死ぬ。
それを伝えた1930年版の色の濃さ、というのは2022年版ではだいぶ薄い。
戦争の悲惨さは伝わってくるが、肝心なところが少し薄い、そう感じる映画なのでした。
ちなみに、1930年版の塹壕戦はすごいんすよ。マシンガンで撃ちながらも、全然歩兵が減らないんですよ。
どんどんうって、砲弾もどんどんうって、手だけ残って。
全然減らないのね。突進してくるのね。
これ、1930年で白黒かよ、っていう衝撃が強いよね。
そうして、最後には塹壕の杭が十字架に見えてくるんだよね。
色々とね、違うんだよね。だからね。
ただ、2022年版ね。冒頭の洗濯シーンは結構よかったんだよ。
その洗濯された軍服をもらって、喜んでしまう学生たちとかね。