二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


映画作品鑑賞リスト2024
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映画:西部戦線異状なし(2022)。爺さんが始めた戦争で、若者が死ぬというのが根底のはずだった。

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西部戦線異状なし(2022)を見ました。

Netflixです。

戦争映画ですね。

 

元々は、西部戦線異状なし(1930)のリメイクにあたるのかな。映画のリメイクととるのか、原作のリメイクととるのか。そこは定かではない。

主人公は、とある学生なのだが諸君英雄になれ!祖国のために!と、戦地に送り出されるわけですね。

そこで、フランスとドイツとの闘いの最前線にて、いち兵士として戦うことになるわけなんだけど。

塹壕戦での戦いをとある10代の若者の視点から描く、そういう話になっています。

 

が、

1930年の、その映画とは全然別物になっています。

映像的なリアルさでいえば、2022年版のほうが、よりリアリティはあるのですが、訴えたいリアルさとしていえば、1930年版のほうが遥かにいいんですね。

 

元々、西部戦線異状なしでは、学校の教師に、君たちは祖国のために英雄になるのだあああああああ と扇動されて、いいように調子にのった学生たちが

 

ピクニック気分で戦争にいっちゃう冒頭

っていうのが、1930年版はすごいんですよ。そこへきて、ひぇええええ 帰る・・・!!と、塹壕から出ていこうとするのを、年上のおっさんたちが止めようとするんだけど、怖さのあまりに塹壕からでてしまって、ドーン!!とやられ・・。

塹壕の砲撃に耐え抜いたかと思えば、すぐ闘いに行く。

ごはんを食べる暇も、休む暇も、寝る暇もない。

そうして、たくさんの学友を失っていくなかで、なんでこんなところに来てしまったのかという想いと共に、早く帰りたい、と。

1930年版では、ケガをして一時帰宅するわけですよ。そこで、母親や妹と再会するんですね。

ああ、帰ってこれてよかった。でも、4日後にはすぐ前線にいかなくてはならない。

1930年版では、パブでのおっさんたちの将棋の駒でも操るのかのような、机上の空論ボードゲームに嫌気を指しつつ、扇動される学生たちを目の当たりにし、なんという惨いことかと主人公が意気消沈する。

 

戦争なんかにいってはいけない、来てはいけない。と。

だが、結局前線に引き戻された主人公が、自分の隊に帰ってくると、知っている顔は2人しかおらず、ほとんどが新兵。

何歳だ?と聞くと

16歳だ。という返事が返ってくる。

自分より3歳も若い。どんどん子供を送り出しているのか、この国は。

そうして、戦争に病まれていく主人公のえげつなさを、ダイレクトに伝えてくる。それが、

1930年版の西部戦線異状なし、なのだ。

爺さんが始めた戦争を、若者がする。

爺さんがやめない戦争で、子供が死ぬ。

 

それを伝えた1930年版の色の濃さ、というのは2022年版ではだいぶ薄い。

戦争の悲惨さは伝わってくるが、肝心なところが少し薄い、そう感じる映画なのでした。

ちなみに、1930年版の塹壕戦はすごいんすよ。マシンガンで撃ちながらも、全然歩兵が減らないんですよ。

どんどんうって、砲弾もどんどんうって、手だけ残って。

全然減らないのね。突進してくるのね。

これ、1930年で白黒かよ、っていう衝撃が強いよね。

そうして、最後には塹壕の杭が十字架に見えてくるんだよね。

色々とね、違うんだよね。だからね。

 

ただ、2022年版ね。冒頭の洗濯シーンは結構よかったんだよ。

その洗濯された軍服をもらって、喜んでしまう学生たちとかね。

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRDwB0X6cazEx6sOZmYjJL4LC1ejo363T48UvUDd7UdwrRSZPv5nqkCis22BK-NqNF89no&usqp=CAU

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