ある男を見ました。
U-NEXTかな。
邦画です。
石川慶監督ですね。
愚行録、蜜蜂と遠雷などは記憶に新しいです。
Arcはあんまりすきじゃなかったかな、違和感があってね。
で、ある男だけど。
まずキャストが凄いね。
安藤サクラ、妻夫木聡、窪田正孝。この3人集めるだけで、主役級の演技派揃い。真木よう子も、仲野太賀も、柄本明もいる。ただ、内容がとても地味なのね。
で、この面子。意欲的。
まず、オープニングが良いね。
文房具屋で働く安藤サクラ。何気ない、でも外では雨が降っている。結構な土砂降り。文房具の品出しをしているようで気持ちは上の空。よい演技。
この始まりで、すべて吸い込まれてしまう。
そこに窪田正孝がやってくる。
朴訥としていて、暗く、絵を描く。近くで林業に携わって。
そうして、安藤サクラとひかれあっていくのだけれど、でもね。
ある日、夫が、夫じゃなかった、別人だったって、わかるっていう話なのね。
この映画ね、前編、後編に分かれている感じでね。
前編は、安藤サクラと窪田正孝のなれそめと幸せの時期。
後半は、窪田正孝とは何者だったのか、それを紐解いていく。丁寧に。
だがね、この映画の本当のある男は、その窪田正孝とは何者なのか、を追う、妻夫木聡なのね。
だから主人公は、妻夫木聡なのね。
彼はもともとは在日だったんだけど、どうやら金持ちのお嬢さんと結婚して子供を成していることがわかるんですね。
マスオさんですね。
少し居心地が悪そう。
その時彼は、城戸としての仮面をかぶっているんだわね。
窪田正孝が演じる、谷口も仮面をかぶりたかった。誰かになりたかった。
その理由は語られる。
この映画の良いところは想像するところ。曖昧にするところ。
ちゃんといってくれないのね。
城戸が居心地悪そうにしている、その背景も。
後に出てくる仲野太賀が、何故そうしたか、それは語られない。
でも、谷口はちゃんと説明する。そのメインストーリーを軸に、周りの、あなたは何者か、を問ていく。
城戸は在日で、奥さんの本当の姿を見て、SNSに日常を投稿し、谷口を追ううちに、自分とは何か、も見つめる。
なりたかった自分、さよならした自分。
みんなあると思うんだよね。
興味深い映画でした。