二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


映画作品鑑賞リスト2024
鑑賞リスト

映画:PLAN75。見るのが辛い。だが凄い。

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PLAN75を見ました。

邦画、ってか国際協力系映画みたいです。合作って感じなのかな。

外国のスタッフさん多いですね。

アマプラでやってます。

 

去年ぐらいから、みたいな~って思ってたんだけど、なんかもう

予告見た段階で、

 

あ、これつらいやつだよ。

ってなるぐらい姥捨て山なんだよ。

姥捨て山に捨てられたババァ様たちのサバイバル映画ってあったね、そういえば。

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こっちは、倍賞美津子がでてるんよね。

 

じゃなくって。

PLAN75は、倍賞千恵子が出てるんだよ。

ハウルの動く城のヒロインですね。

 

でさあ、角谷ミチって名前なのよ。

78歳でホテルの清掃員してるのね。

清掃員のおばあちゃんたちで、お昼休みはリンゴきって食べたりさ、カラオケいって歌を歌ったりしてるのね。

ミチさんは、背筋がピンとして、声がきれいなおばあちゃんなのね。

団地に住んでてさあ。

一人でね。

ああもう、ネタバレだよ、今日はさ。

 

旦那はもう他界してて、子供は別にいないしね。

一人で暮らしてて、ペットもいないんだけどね。

ある日、職場仲間のおばあちゃんが倒れちゃうのよ。

そこで、一斉に同年代のおばあちゃんたちがクビになるの。

 

ミチさんは、腰も曲がってない。

介護も必要ない。

仕事もできるし、ボケてないし。

 

団地、取り壊す予定になっててさ、出ていかなきゃならないの。

でも、誰も、家貸してくれないのね。無職だから。

まだ働けるよ、って。

 

どんどんどんどん、ミチさんは追いやられていくのね。

そうして、PLAN75が迫ってくるーっていう話。

 

この映画さ、ああもうさ。

10分に1回止めたくなるぐらいつらいんですよ、見ててさ。

 

仲のいいおばあちゃんとさ、スーパー行くんだよ。

別に贅沢するわけでもなくて。

仲のいいおばあちゃんが、良いから家に泊まってけ、遅くなっちゃったしさ!って。

 

あのお家がヤバいんですよ、もうグサグサくるんですよ。

あの台所やばいんですよ。

 

一人暮らしには広い家なんですよ。

食器棚とか、上の方絶対届かないんですよ。

一人暮らしだけど、食卓は4人席なんですよ。

マグカップたくさんあるんですよ。

泊っていけ、って言ったついでに、歯ブラシもあるよ!っていうわけよ。

ダイソーなんだよ。

そうだよ、歯ブラシは職場から盗むなんてことはしないんだよ、勿論さ。

ダイソーの歯ブラシなんだよ、家にあるのはさ。

でさ、家に泊まるんだよ。

 

ミチさんの左顔が青く光るの。

まぶしいでしょ?って。

今日は用心棒がいるから、泥棒の心配はないか、って消すんだよ。

 

ばあさん二人で、用心棒も何もないけど、一人戸建て、そりゃテレビでもつけとこうって思うんだよ。

 

グハッ

 

もう打撃が凄いよ。

でさ、まあ、このおばあちゃんが倒れちゃうんだよ。

倒れちゃうんだけどさ。

 

退院して帰ってくるんだよ。

でさ、ミチさん、会おうとおもって電話するんだけど、繋がらないんだ。

しばらくしてから、家を訪ねていくと、家の鍵、玄関に刺さったまま、開いてるんだよ。

 

おかしいな、って思うと、変なにおいがするの。

おばあちゃん、食卓に座って、手がだらん、てしてるの。

 

おばあちゃん、座ってお茶飲んでたんだよ。

 

もう想像したさ。

家で死にたかったのかな、って。

玄関の鍵を何とか開けて、鍵は抜けなかったけど、お茶は入れて飲んで。

ああ、疲れた、って思ったんじゃないかなっと。

 

あ、やべ、停止してぇ。

 

っていう、なんかもう風景で語ってくるんですよ、なんですか。

凄いのですよ。

ミチさんがさ、一人暮らしだってのはわかってたんだけど、職場クビになってから、団地の郵便受けのシーン出てくるのね。

郵便受け、ほとんどが、緑色のテープ貼ってるの。

ようやく、あ、この団地、人がいないんだなってわかる。

いつも、辛そうに遠そうに、スーパーの買い物袋もって、家にむかってたミチさんだよ。

でも、ベランダでは、植物たくさん育ててるのね。

ミチさんらしいよな、って。

 

道路の工事現場も78歳で、立って交通整理だよ。

赤く光る点滅が、もう、人生の点滅に見えてくるんだよ。

 

でさ、この映画なんていうか、日本が舞台だけど、日本映画に見えないんだよね。

音楽や、脚本や、カットとか、なんかすべて海外調なんだよ。

 

凄い新しい感じがするのね。でも、テンポ崩れない。

で、ミチさんがさ、バスに乗ってる時のあの光と影よ。

光の中にいたミチさんは、トンネルに入っていくんだけど、顔は影に覆われているんだよ。

その日、家を出る前に、ベランダから外をのぞくじゃない。

マンションは、白いけど、見渡す景色は、緑のはずが、限りなく暗い、緑、むしろ黒い。

あの世とこの世のはざまのように。

 

なんかもう、羅生門思い出したよね。

どんどん暗闇の中に入っていく。

 

 

どうなっちゃうのかな、この人たち、ってずっと追いかけていく。

ミチさん視点が主役だけど、PLAN75にかかわる人たちの視点や思いから、物語を掘り下げていくんですね。

 

ラストもよいんです。

生きている実感を感じて、体温が上昇した中で、ガードレールを掴むでしょ。

体の火照った体温と、ガードレールの冷たさを感じて、生きているって実感する。

 

最初つらい。自分の親も同じぐらいの年代だったりね、するからね。

でもね、見ごたえ十分、良い映画でした。

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