二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


映画作品鑑賞リスト2024
鑑賞リスト

映画:英雄の証明。狼がきたぞ。

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英雄の証明を見ました。

U-NEXTですね。

イラン映画です。

 

待望のアスガー・ファルハディ最新作!

 

アスガー・ファルハディだよ!!みんな!!大好物だね!

別離、セールスマンと撮ってきました。

口論系中東映画、と私の中で呼んでます。

今回は口論系、ではなかったですね。

 

まあ、でもズキズキします。

借金を返さないから、借主に訴えられて刑務所に入った男が主人公ね。

その程度で?!

って感じするけど、イランの法律って結構変わっててね。

まあ、中東あるあるで面白いんだけどさ。

 

javok.hatenablog.com

50人の宣誓も面白いよ。証人する人が50人いると死罪にできるとか、月の満ち欠けで罪の重さが変わるとか・・。

どんな!?

と、まあそんな感じなわけなんだが。

囚人といえど、休暇という制度があって、刑務所から出て家族のもとにも会いにいけるので、刑務所・・・?っていうか・・なんだろう、反省施設?って感じもする。

でも、刑務所に入って前科があると職を得られなかったりもして、どんなやねん・・ってかんじもするわけよ。

途中で出てくるタクシーの運転手も前科があったりと、これ、前科ない人の方が少ないんじゃないかという気すらする。

 

で、物語を全然説明してなかったわ。

主人公の彼女がね、金貨が入ったバッグを拾うわけよ。

よし!これで借金返せるぜ!

って、意気揚々と借主に返したいんだけどーって電話したわけ。

でも、全額じゃねーなら、いらねーわ!!

と門前払い。そのうち、姉にバッグのことを問いただされて、持ち主に返すことになるんだけど、これがまた美談として、いろいろなメディアに取り上げられて・・。

 

っていう話。

 

これの興味深いところは。

メディアやSNS、刑務所の所長たちにいいように、取り上げられて、捏造されて、美談にされて、たった一言言わなかった事実を、

よくも騙したな!

って、主人公のせいにされちゃうわけ。

え・・いや俺は・・・・?だって、みんないうなって言ったじゃん・・・・?

え・・・?

という、具合にどんどん流されていっちゃうわけですよ。

深みにはまっていってね。

 

主人公は、囚人だけど、金貨を盗まず持ち主に返しました。そういう話なんだけどね。

それの何がすごいんだ!?

と借主と不仲になっていくわけなのね。

まあ、主人公の俺すげーだろ・・・?!っていうあの調子に乗った笑いもよくありませんね!

 

で、SNSやメディアにいいように踊らされて、さらにいいように落とされていく。

美談につくりあげたのは彼らで。

主人公が言ってるの、嘘じゃね・・・?と勝手に盛り上がるのも彼らで。

 

善行を働いている目の前にいる人物よりも、目に見えない嘘かどうかもわからない、SNSの情報を鵜呑みにしてしまう。

そういう皮肉と、むなしさを描いているんですね。

まあ、主人公もね、きみぃいいいそれは、あかんでぇえええ?!っていうのはあるんだけどさ。

 

自分の責任になりそうになると、逃げだす刑務所所長たちとか、ほかのいろいろなみんなとかね。

人間の心情がうまく絡みあって、じくじくする映画になっています。

 

果たして彼は、次バスに乗れるだろうか。

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