二月の鯨

週3~5回いく映画鑑賞感想、たまに消化する積みゲーの感想、映画祭やドラマの話


映画作品鑑賞リスト2024
鑑賞リスト

映画:ニトラム/NITRAM。僕はニトラムじゃない。

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ニトラム/NITRAMを見ました。

U-NEXTですね。

うーん。

オーストラリアであった無差別銃乱射事件の犯人の話を犯人側から描いています。

 

ja.wikipedia.org

 

オーストラリアアカデミー賞の受賞、およびカンヌで主演男優賞を受賞していましたね。

この映画を見れば

たしかに。

 

ってなります。

 

しょうがい系の役でいうと、ディカプリオのイメージ強いけど、今は自然体系しょうがい系の役の人の演技の方が、なるほどと思う。

周りと同じように一瞬みえるけど、もう一度みるとなんか違う。ってなるんだ。

 

ニトラムというのは、主人公の彼のあだ名。

でも彼はすごくこの名前が嫌い。

字幕では、のろま、と訳されていましたが、元々は主人公の名前である

martinを逆さに読んでバカにしたあだ名だったんですね。

 

小さいころ、花火が好きで火傷してテレビでインタビューされた。

凝りもせずに大人になっても、庭で四六時中花火をしてる。

母が、ご飯よ、と呼ぶとやってくるマーティン。

 

だぼだぼの服を着て、ズボンはいつも土で汚れてる。

ズボンが汚いから、脱いできなさい、それまでごはんは食べないわよ。

 

母はマーティンに冷たい。

ズボンを脱ぎに行った息子は帰ってくるとパンツ一丁になってごはんを食べ始める。

あきれ顔でごはんを食べ始める母、父、そして息子。

それが日常だということがわかるシーンになっている。

 

話をおっていくと、どうやら彼は精神を患っており、自閉症やIQが低く知的発達症などがあることがわかってくる。

 

自分の同級生は一回りも小さい子供だった。

どう会話をしてよいかわからず、花火でコミュニケーションをしてしまう。

一人で誰もいない公園でブランコを立ち漕ぎしている。

サーファーに憧れて、サーフボードを買うお金を貯めるために芝刈りのバイトを探す。

 

そんな彼を心配していつも優しい父親。

芝刈りの道中に、出会う邸宅で一人で数十匹の犬と暮らす富豪、ヘレンと出会う。

ヘレンは、母親ぐらい年の離れた女性だったが、ヘレンは、マーティンを邪険にはしない。

優しいまなざしで受け入れる。

やっと居場所が見つかったような、気がした。

 

だが。

この人生最高だと思った出逢いが、どんどん思わぬ方向に傾いていってしまう、という話なんですね。

 

この映画はね、実際の銃乱射の現場シーンは出てこないのよ。

でもね。

そら、恐ろしい話になってるんだよ。

 

 

javok.hatenablog.com

 

ダーマーの時もそうだったが、犯人たちの特徴性は、孤独性。

ジョーカーのアーサーもそうだったように、どんどん孤独へと転がり落ちていく。

憧れているサーファーにはバカにされ、拒まれ。

マーティンが、プレゼントしたら喜ぶかな!と思ってプレゼントするあるものを、憧れのサーファーは目にして、無言で後ずさっていく。

だが、彼には何故かわからない。

何がいけなくて、何がしていいことなのかわからない。

 

そうしてついに銃を購入してしまうわけなのだが。

この購入シーンがなんといっても、大変興味深い。

 

ただ、購入するんじゃないんですよ。

やあ!いらっしゃい!何が欲しいかな!

持ってみるかい?カッコいいだろ?おまけしとくよ!

 

ショットガンも欲しいのかい?下にあるよ!

ちょっと反動がおおきいからね!

そう、そんな感じだよ!

ライセンスは持ってるかな?

持ってない・・? あーうーんそうか。

大丈夫だよ、拳銃だったら、持ってないとだめだったけど。

いつものように対応する店員。

コンビニみたいに気軽に銃が変えるんです。

靴か、ゴルフクラブか何かを買うように。

 

ここが一番恐ろしいんですよ。

 

ぼくが死にたいぐらいだよ、と語っていたマーティンが。

銃は嫌いだと言っていたヘレンが。

家を出なかったら銃は買っていなかったであろうマーティンが。

もし、母親がマーティンがわかるようにマーティンに愛情を注いでいたら。

父親が、土地を買えていたら。

 

アーサーが転がり落ちていくように、マーティンも人生を転がり落ちていく。

 

映画の内容が内容なわけだが、主演のケイレブはすごい。

顔の表情一つ一つが、やりきれなさを伝えてくる。

思っていても言葉にできない感情や、怒りを目で訴えてくるのだ。

彼は言葉にできない分、行動に出てきてしまう人だ。

運転席にのっていて、楽しくなってくるとついハンドルを触ってしまう。

花火に火をつけてしまう。はしゃいでしまう。

 

余談だが、映画は、実際の事実と多少異なる部分もある。

例えば、父親はマーティンが小さいころに亡くなっているからね。

銃乱射するときも、

今日はWASPと日本人が少ないな、といって行動に移っている。

 

WASPとは、ホワイト・アングロ・サクソン・パーソンのことで、白人のエリート支配層のことを指すそうだ。

そういえば、家の屋根に救っているWASP(蜂)も映像としては出てましたね。

屋根のほうに巣くっている、っていうのが何かを表しているような気がしなくもない。

 

そういえば、ヘレン役の人は監督の奥さんなんだそうだ。

エンドロールに、ことの顛末の後の銃規制の話がでてくる。

ニトラムは、35回の終身刑をうけて、今もなお服役中だ。

オーストラリアは死刑廃止されたからね。

でも彼は、一度自殺をはかっている。

https://www.cetera.co.jp/nitram/wp/wp-content/themes/nitram/img/ogp2.jpg

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