こわれゆく女をみました。
ジョン・カサヴェテスの作品ですね。
結構有名な人だけど、全然見てこなかった人ですね。
主人公は、グロリアとかでも(オリジナルのほう)主役やってた女優さんで、ジョン・カサヴェテスの奥さんでもあります。
ある日ね、奥さんが子供をお母さんに預けるところから始まるわけよ。
大丈夫?何か困ったことがあったらいつでもいいから電話してね?って。
心配しながらも送り出す。
すると、家の中で、ビールの空き缶が転がっていて、煙草をふかして、消沈している主人公が見えるんだよね。
水道の工事現場で、旦那らしい男が仕事仲間と会話してて。
子供たちを預けて、今日は妻と二人きりで過ごすはずだったのにーっていってるわけね。
仕事仲間が、電話をしたのか?と問い詰めると、怖くて電話ができないんだ、という男の弱音が出るんだね。
そのあと、言い訳のように、あいつはイカレてるわけじゃない、俺を愛してるんだ、今日帰れないとわかったら何をしでかすか。家を燃やすかもしれない。
みたいなことをいうわけね。
ほだされた旦那は、奥さんに電話をかけるんだけど、奥さんは案の定ガッカリ。
そのまま夜の街に繰り出して、男をひっかけて家につれてきちゃうんだけど。
どうやら、そこらへんから言動がおかしい。
昨日の夜連れてきた赤の他人の男性のことを、旦那の名前で呼ぶ始末なのだ。
っていう、始まりなんです。
この映画、1974年の映画なんだけど、150分ぐらいある。
結構長いんだ。前半は奥さんがやばくなるとこ、後半は奥さんが帰ってくるとこ、を描くのね。
帰ってくるってどういう意味かっていうと、要するに、やばくなってしまった奥さんを精神病院に入院させるわけで、そこから帰ってくるってこと。
ただね、年代が。
1974年なのよ。
ヒステリーな女を精神病院にぶち込んで、冷たい水やら熱湯にいれて治療と称していたあの頃ですよ。厳密にいうとあれはもう少し昔なのかな。この頃って、カッコーの巣の上でとかもあったね。
とはいえ、その治療内容について一言だけ触れる部分があるが、そこはどう考えても間違っているわけね。
映画で、そこについての描写はないけど。そこはこの映画では重要な部分ではないから。
まあ、私はこの夫婦の愛情関係は正直よくわからないよ。
旦那は水道工事で力仕事なんだけどね。妻との約束をドタキャンすることになってしまった翌日、仲間を引き連れて家に帰ってくるんだよ。
飯を作ってくれって。
作るのはスパゲティなんだけど。もしかしたら、イタリア系なのかな。
旦那は仲間に飯をふるまっている 風なんだけど。
いや違うんだよ、たぶんこの旦那は、一人で帰るのが怖かったんだよ。だから仲間を連れてきたんよ。後半戦でも似たような展開があるの。
一見すると、旦那はいきなり怒鳴るし、ののしるし、たまに平手うちだし。
よくよく考えたらこいつのほうが情緒不安定なんじゃないかとすら。
こいつが好きになる理由はよくわからんよ。
でもね、たぶんこいつらお互いに大好きなんだろうさ。大好きだから、お互いのそういうところは全部許容なんだろうさ。
お楽しみしようとすると、子供が乱入してきて、主人公はなかなか旦那といられない。
そりゃ、子供が3人もいたら無理・・っていう気もするんだけど。
でも、子供のことも愛してるからそうはいってもというジレンマが。
ちょっとしたボタンの掛け違いのように私には見えるんだけど、なんだろうね。
確実におかしくはなるのよ。
でも、この主人公がすごいところは
いや・・普通じゃない・・・・?いや、変じゃないよね・・・・?みたいな感じなんだよね。そこまで変じゃ・・・・。
でも、徐々に、あれ・・やっぱおかしい・・・
あ。やばい。
ってなるんだよね。なんだか、スリラーかサスペンスみたいに。
で、どうなるの、って話なんだけど。
主人公の女性が見どころ、という映画でした。