雪の轍を見ました。
ドラマ映画です、トルコ映画ですね。
THE中東系の映画ですね。
英題は冬眠、トルコ語の原題も冬眠みたいです。
日本語は、のをいれちゃうあたり、日本だなという感じはしますね。
この映画は、2014年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞です。
私、カンヌと合うときと合わないときあるんだけど、この映画は合う感じだったな。
ちなみに
196分あります。
ナゲェよ!!!
って感じなんだが、もう全然長く感じない。気になってしょうがない。
内容的には、トルコの世界遺産カッパドギアあたりでホテルを経営してる元舞台俳優のおじいさん・・・?といっていいのかな。まあ見た目60代ってかんじの主人公なんだよ。
ホテル経営以外にも、色々店を経営してたり、不動産やってたり。
家には20代か30代の若い美人の妻がいて、後夫と別れた妹がいて、3人で暮らしてる。
ある日、雇っている部下のヒダーエットが、
家賃を滞納するなんてありえないっすよ!取り立てる方法なんていくらでもありますって!
みたいな感じでゴマすって車を運転してると、助手席の窓めがけて小石が飛んでくるんだよ。
どうやら、それを投げたのが子供だってことが分かるんだけど、家賃を滞納してる貧乏一家の子供でさ。
面倒事は嫌いだからと、ヒダーエットに任せてさっさと去ろうとするんだけど、後日、謝りに来たり、家賃滞納は待ってくれとずっとなんやかんややってきてめんどくさいわあ、みたいなことになっているわけね。
まあ、この主人公の爺さん取り巻く、奥さん、妹、ヒダーエット、貧乏家族とかの人間関係にフォーカスした作品なんだよ、これ。
で、この映画の特徴はまずなんといっても、
遠景の風景が荒涼としているんだが、その荒涼たる美しさにぼー・・・っと見てしまう系の映画なんですよ。
クロエ・ジャオですね!
遠景風景好きな人は好きだよきっと。
背景の中に、人がぽつん・・系、私も好きなんだ。
で次は、この映画鏡演出が多いんだよね。
ここまで意識的に何回も見せるのは珍しい感じもするけど、
ヒダーエットと貧乏家族の弟が言い争っている車のミラー越しに映る弟の顔。
主人公が言い争っているときに見える奥さんとの鏡演出。
ホテルの部下(給仕さん?)がキッチンで仕事してるときに映る料理。
とかとかね。
特に、奥さんとの鏡演出は素晴らしいんだけど、こっちに座ってくれ、みたいなことを主人公が言って近くに呼び寄せようとするんだけど、奥さんは近づきたくないから、鏡を自分と旦那に見せて、
これでいいでしょ。感がね、いいんだよね。
近づきたくねぇんだわ!!とりあえず今はな!!
ていうのが体現されてて。
そしてなんといっても圧倒的に映画の中で主張しているのは
会話劇です。
これ一体どこまで台本あるの・・・・?
って気になっちゃったよ。台本全部はないんじゃないかな、いやあるのかな、わからん。そのぐらい1個単位の会話が長い。
中東系は、特に最近会話劇、言い合い系の映画が多いんです。
私は会話劇はあまり好きじゃないんだけど、中東の言い合う・お互いに理解しようとする・喧嘩っていう系は好きなんですよ。
で、雪の轍ですよ。
もう、めっちゃみんな言い合ってるんですわ。
会話の内容が面白すぎるので、ネタバレしづらいんですが、
とりあえず
上っ面ばっかり気にする主人公。
それを指摘する妹。
妹が離婚した原因をストレートに非難する主人公。
慈善事業することを生きがいにしようとした妻の間違いを事業家目線で否定する旦那(もうこの時の旦那の優越感たっぷりがたまりません)
教養はあるが、自分の意志がない旦那を非難する妻。
ここぞという時に、絶対いなくなろうとするヒダーエット。
導師と呼ばれているのに、媚へつらって赦しをただただ請おうとする貧乏一家の弟。
とかね。
なんかもう、中身がないのに言葉でつつみ隠そうとする旦那が滑稽でな・・w
の癖、人より上にいないと(体面的な)気が済まなくてな・・・w
でもまあ、なんかね。
みんな、包み隠さず相手に対して本当の事言いすぎてるんです!w
お前はこうだろう!あなたはこうよ!
あなたがこういう風にいったのは、こういう人だからよ!
って、ずっとずっと言ってる・・・w まあ、穏やかに、言い争いしてるんだけどね。
なんか色々なるべくしてなっているんだが、日本人はこういう言い争いしないんだろうな。
言い争わずに、離婚するんだと思うんだよね。
言い争わずに、家賃滞納したら家を出て行ったり、違う不幸なことが起きたり。
言い争うことが正解か、言わぬが仏なのか。
それは相手によって違うと思うんだけどね。
少なくとも、こういう旦那にはいった方がいいと思うな。
余談だけど、ホテルにバイク客がやってくるんだけど、そこで、主人公とバイク客とのマウンティングが始まるシーンが面白い。
全く歯が立ってないのよね。
行き当たりばったりの旅をして、物書きをして、本を出す予定のバイク客でね、主人公は、もっとすごいちゃんとしたのを書いてるんだ、みたいなことを言うんだけどね。
そしてバイク客がいざ帰るときに、旦那は羨ましそうにその背中を見送るんだよ。
主人公は、どこにも行けないからね。