荒れ野を見ました。
ネトフリオリジナルですね、スペインのホラー映画です。
とある荒野のだだっ広い場所でね、草木も乏しい場所で、3人家族が住んで暮らしているわけね。
夜中に子供が目を覚まして、陶器のようなものを自分の方に手繰り寄せようとするんだけど、あやまって割ってしまう。
どうやらそれは、おまるだったらしくて、お父さんが小屋の外にあるトイレまで付き添っていくわけね。
お父さんは銃を構えてトイレまでいくわけよ。
見渡す限り荒野で何もないし、人影もないし、隠れるところもないのにね。
息子は、恐々とあたりを見回すんだけど、
枯れ木が暗闇に不気味に映って気味が悪いのね。
もうなんだか、私はここらへんの描写で気分は
モチモチの木なのよ。
モチモチの木って小学校の教材とかで読んだりするじゃん?
あれって、主人公の男の子が、家の外にあるトイレに一人でいけないって話なのね。
モチモチの木が、揺れて襲ってきそうで怖いんよ。
じいちゃんについてってもらわないと、一人でトイレにもいけない。
って、いうあの話ね。
まあ、この映画、ネタバレでしか話せないんだけどさ。
主人公の男の子は、そこそこ弱虫で、優しくて。兎を殺して肉を食べることを教えようとお父さんがするんだけど、うまくできなくて、逃がしちゃうんだよね。
でも、しるしの外に兎が出ていくのに気づいて追うのをやめるのね。
しるしの外は危ないから出ちゃいけないからね。
しるしの外には何があるの?息子が父に聞いたら、あの外には戦争ばかりがあるんだよ、と。
そこで、お父さんは、細長い人影の怪物の話をするわけ。俺は信じてる、ってね。
しかし、ある日、川から血まみれの男が流れてくるんだよね。手当をしてあげたんだけど、男は家で自殺してしまって、お父さんは遺族に死んだことを知らせなくては、と一人馬に乗って出かけていくーっていう話。
この映画の奇妙なところはね、ある意味
全然全然ホラー的なことは起きないんですよ、ホラー的な描写とかね。
お父さんがいなくなって、それを待つ、っていう
戦争に行ったお父さんが帰ってこなかった節子と清太のような、はだしのゲンみたいなホラードラマになっているんだけど。
お母さんは、息子と二人でずっと、ずっと旦那の帰りを待っているのね。
そのうち、お母さんがちょっとずつ、ちょっとずつおかしくなっていくわけ。
その二人を例の細長い怪物が襲ってくる、っていう話なんだけどさ。
この映画、お母さんと息子の籠城ホラーなのよ
本当に何も出てこないの、何も見えないの、でも違うんだわ
見えないから怖いんだわ、それに不気味でさ。
小さい頃、夜トイレいくのやだなーとかなかった?ずっとあけられてない錆びた鉄製の小屋が怖いとか、体育館の倉庫がなぜか怖いく思えたり、放課後夜更けの校舎が怖く感じたり。
親父は映画の最初の方で言うんだよね、いつも手に巻いてた包帯を外しながら。
手には痛々しい傷跡があって、自分の両親は虐待してたって。
死ぬ前に姉さんは、見えなくてもあいつはいるのよ、って言葉を残したと。
いや、多分ね。
恐怖っていうのは目に見えないんだよね。
でもね、この映画はモチモチの木なのね。
モチモチの木では、大好きな爺ちゃんが腹を痛めて動けなくなるんだわ。
で、主人公は怖くて怖くてしょうがないけど、ふもとの村の医者のところまで、夜走って呼びに行くの。
大好きな爺ちゃんを助けたくてね。
親父と同じように赤い布を手に巻き付けたディエゴが、なんとも逞しくそれと重なるんだよね。