マウトハウゼンの写真家を見ました。
ネトフリオリジナルですね。
第二次世界大戦中の、マウトハウゼンという収容施設の話です。
この映画、オープニングの文言が衝撃的でね。
ていうか、わたしが知らなかっただけなんだけど。
ドイツに捕らえられたスペイン人たちは、スペインに国籍を剥奪されてしまって、スペイン人じゃなくなるのね。
国に見捨てられるっていう。
まじで??
と、ここから衝撃だった。
元々収容施設はオーストリアにあって、フランスと戦って負けた兵士とか、内戦で戦った兵士が送られたりするんだって。
フランスの外相に国籍をはく奪されるのだけど、それを助けなかったってことかな。
収容されたスペイン人たちは強制労働させられる。ナチスがやってくる前から収容されているひとたちは、青い逆三角形のワッペンを胸元につけている。
同じように、青いワッペンをつけた写真事務職の男が主人公。
彼は、証明写真を取ったり、整理したり、現像したりするのを仕事にしている。
子供の証明写真を撮影したときに子供が、自分の胸元に空いている穴を指でつつくのは衝撃的だ。
主人公は収容されているが、同施設でナチスの上官から素人の割に写真の腕は良い、と気に入られている。
そんなスペイン人は、この施設への虐待を目の当たりにしていて、写真を外に公開するために持ち出そうとする、っていう話ね。
この映画で興味深いのは、収容所での暮らしぶりだ。
まず、ハウンゼン施設では写真のプロみたいな軍人がいて、チェスをするときの人員の配置や格好を指示したり、丸坊主にしたあとに全裸で立たせた人々を写真におさめる。
写真に写すときの構図や、悲壮感が漂っているかなどに芸術性を見出しているその軍人は、写真を取るときは絵画を参考にしている、と説く。
もちろん、主人公はそれに対して文句を言うことはない。
時に、死んだ遺体を撮影するために、照明や機材を運び入れるときもある。
軍人に気に入られている主人公は、収容施設の中にある娼館ような場所に連れて行ってもらうこともある。
収容施設は、刑務所みたいなイメージだったから、そういう施設があることにも驚く。
またスープの食べ方についてもレクチャーしてくれる。
一番最初に並ぶと汚い汁しか食べられないし、一番最後の方に並ぶとカスしか食べられない。並ぶなら真ん中だ。肉が入っていることがあると。
そう言う主人公の寝床では枕がないから皿をびっくり返して枕にしている。
そして、またまた意外なのは、軍人たちのパーティの手伝いに動員されることがある。
給仕をさせられてるわけだ。
そうなの?!収容施設にいて外には出られないと思っていたけどそういう?!
戦争で働き手が国内にいないとか、軍人になっていたりでお安い労働力として使っているのかもしれない。
そして、パーティで見せる異常性も際立つ。
ヤバい場所に連れて行かれる運搬車についても紹介される。
なんと、窓がない。
そこでかわされる軍人たちの話。窓がないと囚人たちが驚いてしまう。電気をつけよう。
いや、窓つけたらいいやん!!
って思ったけど、要するに、
景色を見せない
てことなんじゃないか?場所とかそういうことを知られないためとも言えるのかもしれない。
と、色々と暮らしぶりを伝える映画になっていた。