見てきました。
というかですね、名画座に最近行くようになって来たので、昔の監督の映画とかちょいちょい見るようになったんですが。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーか・・。知らないぜ!でも見てみようじゃないか!
ということで興味本位で見に行ったわけなんですが。どうやらこの映画、ファスビンダーの愛人のアルミン・マイアーの死を受けて製作されたもののようですね。ていうか、
のっけから、画面を埋め尽くす文字文字文字!
スターウォーズなのか?!いや違うな文字は緑だな!
そして、唐突に始まる劇画(じゃなくて、舞台)
そう。なんていうか、この映画ですね、シーンごとシーンごとで固定点から撮影されているのが多いんですよ。
しかも結構長回し、長ゼリフ。
だから、なんていうかまるで舞台を見ている気分なんですわ!!
しかも、一人の人が、その登場人物の過去のお話をずっと喋っているくだりなんかあって、どう考えても
舞台!
こんなに長々と一人で宮部みゆき物語が繰り広げられるのを初めて見たぜ・・。
そして、その舞台演出で目を見はるのが、その舞台を彩るオブジェ、構成。
なんか、全部が印象的なんですよね。
例えば、会社が倒産しまくった1フロアの扉をどんどん開けていくシーンとかあるんですけど、幾重にもガランとした扉が開いていて、まるで迷路に迷い込んでしまったような気分になったりとか、元奥さんに会いに行ったら庭でご飯食べてるんだけど、そこには謎のぼんぼり(あれはなんていうんだっけ)が、カラフルにぶら下がっていたり、主人公が半裸状態で家で寝そべっていたら、訪ねてきた人が鍵穴からその主人公を覗き込んでいたり、かと思うと、大の大人が女学生の真似をしてわめき散らして踊り始めたりする。
なんなの?!このセンセーショナルなシーンはなんなの?!(頭から離れないシーンの連続)
あまつさえ、冒頭で精肉工場に訪問するシーンがあるんだが、
このシーンはホラー映画かと思うほど強烈すぎて、セリフが全く頭に入ってこない!(鶏から始めさせてください)
どっから突っ込んでいいのか、どっからよく考えればいいのかわからないぞ!!
という、自問自答が始まるのだ。
この映画では、主人公がいろんな人物たちに会い、そこで会話劇が繰り広げられる。
ある意味、これは車がないロードムービーのようなもので、彼女の心の対談が行われる。
中でも印象的だったのは、暗いがらんどうのオフィスで、名も知らないおじさんとワインを片手に、会話するシーンだ。
生と死について語っているのだが、そこでおじさんは、
”自殺するということは、生に反しているかもしれないが、そうではない。自分の意志を現象にしたものなんだ。”
というようなことを言っているのである。(ほんとはもっと長いのでめっちゃ端折った)何か、色々思うところぶつけてきている感じのするセリフですね。
さて、つまるところこの映画、主人公は、男性なのか、女性なのか、その狭間で生きてきたこの人生のなかで、監督の愛人であったマイヤーは死んでしまった、その想いと自分の話を映画にのせて、決着させようとした、そんな作品ではないか、そう感じさせる映画なのでした。
なかなかパンチの効いた映画だったぜ。。好きか嫌いかははっきり好みが分かれるところかなと思います。