蜜蜂と遠雷を見ました。
4人のピアニストがコンクールで争うというそういう話です。
この映画の予告を見たときに、真っ先に彷彿させたのが四月は君の嘘。
あの漫画は、ぼろ泣きしたんですよね。
良い漫画でした。
蜜蜂と遠雷は、みんながみんな主人公ですが、敢えていうと主人公は、松岡茉優が主人公です。
幼少の頃、天才ピアニストと言われていた少女が、コンサートをドタキャンしてしまい、そのまま姿を消し、このコンクールで再起を図るという話になっています。
各々が、各々の事情を抱え、コンクールに挑みます。
冒頭、4人の背景を説明するために、
やたらと説明台詞が続きます。
そうです、この映画は説明台詞が多いのです。
途中で挟まれるブルゾンちえみの説明台詞もうるさいことこの上ない。
このぐらいなら伝わるかな、このぐらいは説明した方がいいだろう、そういう葛藤も見えます。
わからんでもない。
でも、敢えて説明しないシーンもある。
蜜蜂と遠雷のピアノシーンは素晴らしい。
各々の、魂の篭ったその演技に、魅入られていく。
ネタバレで話ます。
松岡茉優ことエイデンアヤは、オーケストラとのピアノ演奏でのトラウマを抱え、母親を亡くし、ピアノを弾くことが苦痛だった。
冒頭で、幼なじみのまーくんと出会ったときの笑顔は、どこか空虚でからっぽで、無理やり笑っているようにしかみえない。
まーくんは、まーくんで、ピアノを弾いていて常に完璧を求められて息苦しくて仕方がない。
弱い16歳の天才ピアニストは、音の出ない木のピアノを毎日指から血がにじむまで弾いている。血が出たら、早くピアノが弾きたいから瞬間接着剤で傷口をふさぐ。
ピアノが大好きで仕方がないけど凡人の松坂は仕事に家庭に抱えながら、最後のコンクールに挑む。
彼らは、ライバルであると同時に供にピアノが好きだということを分かち合う同志だということもわかる。
夢を語るまーくんとそれを応援するアヤ。寒い海岸沿いの夜の工場で、ジンと好きなピアノを分かち合うアヤ。
みんなピアノが好きで仕方がない。
アヤもピアノが好きで仕方がないはずだった。
でも、再起を図ろうとするも、そのピアノのトラウマから逃れることができないでいる。
ピアノを弾くことが苦痛なのだ。
そんなアヤが途中で立ち直るシーンが圧巻なのである。
そう、彼女を立ち直らせるのは、連弾なのだ。
ぼろ泣きするよねもうちょっとヤメテw
そして、いつも彼女の中には母親がいる。
トラウマをぬぐえない彼女は、雨が降りしきる中で涙を流す。
でも、その雨音が彼女を引き留める。
ラストのピアノシーンは圧巻。
良い映画でした。