家族を想うとき、を見ました。
時期的に見に行けなかったので、レンタルしてみたわけですけど。
もう号泣ものでした。
どうしてくれるわけ、ケンローチ。
とあるイギリス在住の家族に焦点を当てた話なんですけどね。
お父さんが再就職するわけですよ。
で、そこの面接で言われるわけです。
君は雇われるわけじゃなくて、個人契約している、自分自身がオーナーだ。つまり、フランチャイズなんだ。雇用関係にあるわけじゃないから自由なんだ。
ものは言いようです。
早速、主人公の配送業は始まるわけですが、車が必要。
でも、車は会社のレンタルだと1日に数千円かかる、結局ひと月で400ユーロかかるわけ。
買ったほうがいい
友達に言われる。でも、借金しているから頭金がない。
妻は、介護士をしていて、老人の家に行くのに車が必要だ。
もう一台車を買わなくてはならない。妻の車を売ることになる。
妻は、バスで仕事に行くことになる。
そうして、朝は7:30から業務が始まる運送業。
初日に、知り合いにこれを忘れるな、と渡されるものがある。
500mlの空のペットボトルだ。
これに小便をしろと言われる。まるでアマゾンだ。
最初は冗談だと思っていた。
息子は、思春期で反抗期。有給休暇はない。
問題を起こす息子を迎えにいかなくてはならない。
仕事を休む、というか穴をあける場合は、代わりに配送してくれるヤツを見つけなくてはならない。
でもそんなヤツはいない。
違約金100ユーロ、プラスα1日にとられる。
配送時に会社から支給されている端末は1000ユーロ。壊したら弁償してもらうといわれる。
一日に14時間働いている。
妻も一日に12時間以上。
こんな激務な妻は、老人たちを介護している。老人たちの肉親は顔すら見せない。
どうしろというのか。
すべての荷物、携帯端末はGPSがついており、お客がどのように荷物が運ばれるのか監視できるという。
まるでUber eatsだ。
Uber eatsも、お客さんが食べ物を発注してから、運ばれるまでGPSでチェックされるシステムがあるという。
そして、もちろん、Uber eatsも個人契約であるため、労災や雇用保険などの保障はない。
自転車で保険がおりるような事故にあった場合、アカウント削除になるという記事を読んだことがある。
ある程度の自由と引き換えに、ある程度のやるせなさを感じる。
1配達で500円いかない報酬。
果たして、それは妥当なのか。保険とかはない。
でも、このコロナ禍では、必要かもしれない。
アマゾンの人たちもこのような労働環境を強いられているのだろうか。
この映画のなかに出てくる家族は、一人一人が、みんな家族のことを想っている。
反抗期である長男が、たまに家族に見せる温かい愛が切ない。
君はこの言葉をお父さんに向けて発しているんだろう?
息子について奥さんが語る携帯についてのシーンが切ない。
彼らには、家族を想いやれる時間がない。でも愛している。
奥さんは、激昂することもなく、温かく夫を説得する。
家族みんなが、みんなのことを想っているのに、どんどんすれ違っていく。
原題のSorry We Missed You は、主人公が荷物を届ける際に、記載する不在届の文句。
ご不在につき失礼、だ
このタイトルは、まるで、家族が想いあっているのに、不在で、すれ違っている、そんな想いを伝えている。
悲しくてやりきれない。そんな映画だった。