50人の宣誓を見ました。
今年の東京国際映画祭は中東映画が少なくてちょっと残念でしたね。
ということで、見てきた50人の宣誓です。
原題は、Ghasamまたは、The Oathです。Oathは、誓いって意味ですね。
この50人の先生っていうのは、イスラム教にある法律の1つで、
50人の男が宣誓することで、裁けない犯人を死罪にすることができる
という法律です。この法律のことを知らなかったので、おいおい初耳だ。
と思って見に行きました。
物語は、50人、には満たないが、殺された妹のいとこや、姉の紹介から始まる。
そして、物語は進みバスの中。
どうやら、彼らは裁判所に宣誓しに行く道中らしい。
この映画ですね、なんていうかですね、最初から。
フラストレーションストレスMAX感ハンパないです。
なんでそんなにフラストレーションがたまるかっていうとですね。
おわかりでしょうか。親戚が36人もバスに乗って、
昼飯はどうだ、妹の裁判は、弁護士は、とやいのやいの言いたい放題の男たち。
カオーーーーーーーース!!まさに正月か盆の様相!!
トイレは1Fと2Fにあるからね!!自分の面倒は自分で見てくれや!みたいななんか、そういうお家の会話を想像してしまった。
こういう時に、一家の縁の下の力持ちのおっかあは大変なんですよね。
この映画でいうと、殺された妹のおねーちゃんがそうです。
姉は、一団を率いて、妹を殺した犯人を絶対に死刑にしてやると躍起。
そうこうして、狭いバスの中でフラストレーション会話が繰り広げられる中、宣誓に反対する人も出てきたり、同乗を拒否する親戚が出てきたりと、姉の大変さがカオス。
バスの中じゃなかったら、まるで部屋の一室で繰り広げられる演劇なのかと思う感じ。
ちなみに、英語の字幕は、みんなの会話が多くて追いづらかったです。
さあ、ところで疑問に思った人はいるでしょうか。
バスの中には36人しかいないのに、50人の宣誓をしようとしているという。
50人に満たなくね・・・・?
なんと驚くことに、一人の人が複数回宣誓するのだという。
いいのか!?50人になってないけど、そのザルな宣誓でいいのか!!裁判!
とか思うわけだが、イスラム教の法典に準じているから、昔から何かそういうルールがあるのかもしれない。
ちなみに、監督曰く、罪の重さによって有罪にできる宣誓の人数が変わってくるのだという。
盗んだとかなら25人とか。何れにしても、全員男である必要があるという。
なるほど・・そういうのあるんだ・・。
それにしても、文化の違いが面白い。
バスの中で、有罪にするか、賠償金をゲットするかの話が繰り広げられるシーンがあるのだが、そこで
男だから賠償金は1.5倍だの、妹が殺された日にちは、なんたらの月の日だから賠償金が上がるだのという会話がなされている。
男だからとか、月の日にちによって、罪の重さが変わるの?!
なかなか衝撃の事実である。イスラム教の法典を元にしているから、ずっと昔からこの制度ってことで、ある意味凄い。
そんなこんなで、カオスな会話が繰り広げられるバスの中。
どうしてこんなにカオスなのかというと、ある程度の会話は決めていたものの、会話自体は出演者に任せていたということと、基本的には親戚というグループをバスの中に集める必要があったため、結構素人の人を集めたと、監督は語っていた。
なるほど?!だから、舞台的な映画になっているのかな。
とまあ、バスは思いもよらぬ方向へと導かれていくわけですが、最後には皮肉が待っている。
監督曰く、自分ん自身が、この50人の宣誓という制度自体に疑問を持っているため、映画を通して問題をシェアできたら、と語っていた。
こういう、文化の違いを発信していくというのは、いいなと思いますね。
新しく文化を知りました。